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ガラパゴス化する日本のシェアビジネスで「一人勝ち」のサービスとは

AirbnbもUberも苦戦中だが…
加谷 珪一 プロフィール

錯綜する利害関係

エアビーは欧米で拡大してきたサービスであり、自宅の部屋を旅行者に貸し出すという、いわゆるホームステイの延長としての利用形態が多い。もちろん、自身が住む家とは別の家を確保し、事業目的で貸し出す人もいるが、そうしたケースの割合は少ない。

だが自宅に人を泊めるという習慣があまりない日本の場合、エアビーに登録する人の多くが事業目的ともいわれる。

自宅を提供するパターンであれば、近隣とのトラブルを回避しやすいが、純粋に事業目的で、提供者自身が家に住まないということになると、部屋の所有者が現場にはいないため、宿泊者と近隣住民でトラブルになる確率は高まる。

では、民泊を自宅の提供に限定するという方向性で法整備をすればよかったのではないかと考えてしまうが、そうはいかない事情があった。

日本は先進国としては宿泊インフラが貧弱なことから、東京オリンピックに際して十分な数の宿泊施設を準備できない状況にある。民泊の普及はこれを解消する有効な手段として期待されていたのである。

 

東京オリンピック対策を急ぎたい政府やオリンピック関係者、お金を稼ぎたい民泊のサービス提供者、顧客を奪われることを懸念する旅館業界、環境悪化を懸念する近隣住民という、4つの利害関係が錯綜したことで、法整備がなかなか進まなかったというのが実態だ。

今回、閣議決定された法案は、民泊を正式に認める代わりに都道府県への届けを義務付け、苦情処理などの対応を課す形になった。

ただ民泊の位置付けはあくまで住宅の一室を提供するものとされ、年間の宿泊日数を180日以内に制限した。地方自治体が条例によって営業日数をさらに制限できる規定も盛り込まれている。この日数制限がポイントなのだ。

年間のうち半分以下しか稼働できないということになると、事業目的の民泊の多くは機能しなくなる。

自宅を提供する人が急増するとは考えにくく、結果的に法案が成立した場合、民泊ビジネスは縮小するとの見方が多い。日本の場合、諸外国に比べて民泊に対する「お金儲け」の色彩が強かったことが、逆にサービスの普及を妨げるという少々皮肉な結果となりつつある。

エアビーと並んで世界でもっとも有名なシェアリング・エコノミー企業のひとつであるウーバーも日本ではかなり苦戦している。全世界でタクシーやハイヤーの配車サービスを提供しているウーバーは2014年から日本に進出しているが、事業は思うように展開できていない。

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日本では消費の低迷が長期化しており、タクシー業界そのものが極めて厳しい経営環境に置かれている。拡大市場であれば、割安なサービスや付加価値のある新サービスが登場する余地があるが、低迷市場に新規参入することは、それ自体に困難を伴う。

しかも、タクシー業界はウーバーの進出に対してかなり露骨なロビー活動を展開しており、ウーバー側はこれに苦慮してきた。

ウーバーに続いて民泊も頭打ちということになると、海外発のシェアリング・エコノミーは日本ではことごとく失敗ということになる。