不正・事件・犯罪
もし「共謀罪」が成立したら、私たちはどうなるか【全国民必読】
知らなかったと後悔する前に
高山 佳奈子 プロフィール

筆者が直接関与した事件の例として、大阪のクラブが改正前風営法のダンス営業規制により訴追されたNOON裁判がある。

クラブNOONは単にフロアで音楽を流していただけで、深夜営業もしていなければ未成年者もおらず、騒音やごみ、いわんや暴行・傷害や違法薬物の問題も全く生じていなかった。

最高裁は、クラブには表現の自由と営業の自由が及んでおり、社会に対する実質的な危険がなければ無許可営業罪の処罰対象にはならないとして、無罪の判断を下した。

しかし、最高裁まで争って無罪を勝ち取った金光正年氏以外は、同様の事案で多くのクラブ関係者が略式手続によって冤罪の状態のままに置かれてる。

しかも、改正風営法ではダンス営業の罪が廃止されたものの、これよりもさらに広範で違憲の疑いの強い「遊興」処罰規定が新設され、多数の飲食店に対し、警察が嫌がらせともとれる立入りなどを実施している。

警察には仕事がないらしい。クラブ関係者の政治的立場は多様であり、反政府的であるから摘発されたとは考えがたい店も多い。

 

最近では、女性タレント2名が電車の線路に立ち入った行為が鉄道営業法違反で書類送検の対象になっている。この行為はクラブ営業と異なり違法は違法だが、極めて軽微な違法性しかない。この程度の行為であれば、刑事罰の対象とはされない国も多い。彼女たちは何の政治的立場もとっていない。

また、昨年5月には、右翼団体「草莽崛起(そうもうくっき)の会」メンバー20名が、道路交通法上の共同危険行為を理由に、運転免許の取消処分を受けることになったと報道された。

こうした摘発の現状を見ると、対象にされる者が政府に対してどのような立場をとっているかは、警察の実績づくりのためにはもはや関係がなくなっていると考えられる。

現行法の下でもこの状態であるから、いわんや、共謀罪処罰が導入されれば、取締権限がどのように用いられるかは、一般人の予測しうるところではないことが明らかである。

イスラム過激派などによるテロを警戒するのであれば、現にテロが起こっているところで用いられているアラビア語、ベンガル語、ウルドゥー語などがわからなければテロの計画を察知できないと思われるが、日本の捜査機関は、摘発が可能な態勢にはおよそない。

テロリストでない日本人しか、実質的には共謀罪処罰のターゲットにならないのである。