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ドル売りに株高調整…これから起こる「逆トランプ現象」に要注意!
市場は案外冷たい目で見ている

2016年11月の大統領選挙後、米国の金融市場ではトランプ政権の経済政策が経済の底上げにつながるとの期待が高まった。それに加え、連邦議会のねじれ状態が解消されたことも無視できない。

トランプ大統領の指揮の下、より迅速にビジネスライクな政策が承認され、実行に移されるとの期待も高まったはずだ。それが、米国の株式市場の上昇を支え、為替相場でのドル高・円安をも支えた。

米国の金融市場では、こうした期待が剥落しかかっているようだ。

特に、トランプ大統領が目指した医療保険制度改革(通称オバマケア、米国民の健康保険加入率向上などを狙った取り組み)の代替法案の採決が取り止められたことは、トランプ大統領の指導力に疑問符を投げかけた。

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トランプ政権が発足して以降、各種経済対策の具体化も進んでいない。この影響は軽視すべきではない。

調整能力の欠如が露呈

3月24日、トランプ大統領は医療保険制度改革(オバマケア)の代替法案の採決取りやめを決めた。

この背景には、トランプ大統領が共和党内部の意見の食い違いを調整しきれなかったことがある。特に、下院の自由議員連盟に属する保守派の議員らは、オバマケアの完全撤廃を求めてきた。彼らはオバマ政権の名残が残る制度を一掃し、政府は経済活動に関与すべきではないという考えを徹底しようとした。

オバマケアが完全撤廃されると、保険に加入できない国民が増える。特に、低所得者への影響は大きい。共和党の穏健派の議員らが、オバマケアの改廃の影響が大きくなりすぎることを懸念したのは当然だ。

そのため、保守派と穏健派の意見の食い違いが、下院での採決を妨げてきた。トランプ大統領は保守派に妥協案を提示し、採決を目指してきた。しかし、ホワイトハウスは保守派の議員を説得しきれなかった。

 

この展開は、政治の実務家としてのトランプ大統領の調整能力の無さを如実に示した。

もともと、共和党内部にはティーパーティー(茶会党)派の議員のように、小さな政府を重視する考えが根強い。これに対して、トランプ大統領の政策は、税制改革、インフラ投資など財政出動によって経済の底上げを目指している。それは大きな政府につながる。

こうした違いがある中、トランプ政権の先行きは共和党内部の利害を調整できるか、できないかにかかっていると言っても過言ではない。

言い換えれば、大統領に中長期の目線で経済を支えるための明確なビジョンがあり、それに説得力が備わっているかどうかだ。今回、トランプ大統領がオバマケア代替法案への支持を確保できなかったことは、今後の政策運営に関する不透明感を高めたと考えるべきだ。

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