ベルリンのWomen's March 〔PHOTO〕gettyimages
社会保障・雇用・労働 格差・貧困 ライフ
なぜフェミニストたちは無意味なパフォーマンスに走りたがるのか
「国際女性デー」に感じるモヤモヤ

「キッチン奴隷制」も今は昔

少し前の話になるが、3月8日、ドイツ人の知り合いの女性から唐突に、「国際女性デー、おめでとう!」というメールが届き、びっくりした。「国際女性デー」など意識したことはなかったし、実際、日本でもドイツでもほとんど話題にはならない。

私の知り合いは、ソ連崩壊の後、旧ソ連邦のある国からドイツに“帰国”した人々の一人だ。

ドイツは血統主義を取っているので、先祖にドイツの血が流れていると証明された人に対しては、ほぼ無条件に帰化を認めている。連邦政治教育センターの発表では、1950年から2011年までに、ソ連邦、及び、東欧の国々から帰国した元ドイツ人の数は、450万人にも上るという。

「国際女性デー」は、旧ソ連圏では大きな意味があった。今もロシアでは、1966年以来の国民の祝日だ(スターリンが決めた)。女性はお花やチョコレートをもらい、皆から感謝される。母の日や敬老の日と少し似ている。

共産圏では女性の労働力は、とても貴重だった。就労における男女平等は、共産圏の国々の方が、西側諸国よりも一歩先に進んだ。ソ連共産党は、1920年代、キッチンのないアパートの建設まで計画していたという。

3度の食事を職場や学校などの食堂でとれば、女性は料理に縛られずに済む。当時のソ連のポスターには、赤と黒の力強い構図に、「キッチン奴隷制を打倒せよ」というスローガンが踊っている。

ソ連時代のポスター

しかし、それから100年、今はどうなのだろう?

私は、西側諸国では、男女同権はすでにほぼ達成されていると思っている。抑圧されている女性はまだいるだろうが、抑圧されている男性の数よりずっと多いとも思えない。だからこそ、国際女性デーは意味をなさず、ほとんど無視されているのである……。

フェミニズムのジレンマ

ところが、どうもその考えは間違っていたらしい。フェミニズム運動は、実は今も烈火のごとく燃え盛っている。しかも、ほぼ平等なものを、さらに均そうというのだから、運動は先鋭化を免れない。

先月、スウェーデンの貿易担当大臣リンデ氏(女性)が、国内のフェミニストの人たちからさんざん非難された。イラン訪問の際に、頭にスカーフを付けたからだ。

 

断っておくが、イランではそれが法律である。したがって女性はこの国では、大臣であろうが、また、どんな信条を持っていようが、ふわりとでもスカーフを被らないことには、ホテルの部屋から外に出ることさえできない。

しかし、世界で一番進んだ男女平等の国の一つであるスウェーデンには、その大臣のスカーフにいちゃもんをつけた人たちがいた。「政府の信条と矛盾する」のだそうだ。

リベラル政党である自由党(FL)の党首いわく、「リンデ大臣は、フェミニンな外交を目指すスウェーデンの名声を汚した」(2月14日付シュピーゲル・オンライン)。どうも、自分たちのやりかたが世界中で通用すると思っているらしい。