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なんと、地銀の「稼ぐ力」が5年で半分になっていた…!
地方銀行は「3つの過剰」を克服できるか

地域経済の低迷、歴史的な超低金利という逆風が続く中、地銀はビジネスモデルの抜本的な転換を迫られている。元金融庁専門調査官で、経営共創基盤(IGPI)代表の村岡隆史氏が、稼ぐ力が半分にまで低下したという地方銀行の「いま」を報告する。

生き残りをかけた再編が進む

地方銀行の経営統合の動きが加速している。3月中旬には新潟県を地盤とする第四銀行と北越銀行が経営統合に向けて最終調整していることが判明した。それ以前にも、今年は三重県を地盤とする三重銀行と第三銀行が経営統合を発表、さらに関西に本店を置く近畿大阪銀行と関西アーバン銀行、みなと銀行もこれに続き、地銀は再編ラッシュの様相だ。

地域経済の低迷、歴史的な超低金利という逆風が続く中、少子高齢化の本格化に向けて、地銀は経営体制やビジネスモデルの抜本的な転換を迫られている。金融庁も経営統合の動きを後押ししており、生き残りをかけた再編の動きは、ますます本格化していくだろう。

 

筆者は金融や事業再生の専門家として多くの地銀の経営者に助言、金融庁参与として地域金融の再生をめぐる金融行政の在り方等についてアドバイスをしている。

そうした経験と知見から、地銀再編について「過剰債務」、「過剰設備」、「過剰雇用」という「3つの過剰」がポイントになることを指摘したい。筆者は、かつて政府系の再生ファンドである産業再生機構で三井鉱山、ミサワホーム、ダイエーといった日本を代表する企業の再生に関わったが、その当時、日本企業をめぐる「3つの過剰」が、同じように論点となった。

地銀の再編とビジネスモデルの再構築は地域経済の活性化にも大きな影響を及ぼす重要なテーマである。3つの過剰をキーワードに再編の行方と課題、地銀復活に向けた処方箋を示したい。

稼げる力が半分になった

地銀の収益環境を直近決算でみると、貸出金利回りの低下幅(▲0.52%ポイント)は預金等原価の低下幅(▲0.28%ポイント)のほぼ2倍となり、この結果、この5年間で預貸金の利鞘がほぼ半減(0.58%ポイント⇒0.34%ポイント)していることがわかる。地銀の稼げる力は半分になってしまったのだ。

この傾向は今後も続くと想定され、預金貸出に基づく従来型の地銀のビジネスモデルは早晩成り立たなくなる。加えて、高度なデータ集積・分析産業的側面を持つ銀行業は、さらなるIT化やFintechへの対応が喫緊の課題となるなか、多額のシステム投資が必要であり、これを従前のとおり個別銀行で賄っていくには収益的に負担に耐えられないといった事情も、経営統合を決断する背景となっているものと思われる。