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米国の株価急落は「トランプバブル終焉」のサインではない
実は、こういう仕組みだった

経済政策運営に対する「懸念」

このところのニューヨーク株式市場では株価の調整局面が続いている。

米国の代表的な株価指数であるS&P500は、3月16日以降、小幅反発した3月22日を除き、連日下落基調で推移した。3月28日には大幅反発したものの、依然として株価の先行きに対しては弱気な見通しが優勢のようだ。

このアメリカ株の調整の理由について、大手メディアはこぞって、「トランプ政権の経済政策運営が滞るリスクを投資家が意識して売り超に転換した」と伝えている。

このトランプ政権の経済政策運営に対する「懸念」は、特にトランプ大統領が選挙戦の時点から批判をしてきた「オバマケア」の代替案が議会で否決されたことをきっかけに高まっているとされている。

だが、本当にそうなのだろうか? 筆者はこのメディアの見方には懐疑的である。

 

そもそも、メディアが報道するように、トランプ政権の経済政策運営のリスクを投資家が意識したのであれば、3月28日にも下落していたはずである。

某経済紙の市況欄には、「オバマケアの代替案の審議と比較すると、これから開始される税制改革案の審議の方がスムーズに進行する可能性が高い」ことが株価反発につながったとされている。

だが、トランプ大統領の減税案と共和党主流派の減税案の間には、なお隔たりがある(特に「国境税」)。もし、トランプ政権の経済政策に対して、少しでも不安を覚えるのであれば、税制改革の審議については、むしろ、オバマケアの代替案以上に審議の進行は不透明であると考えるのが筋ではなかろうか。

しかも、税制改革の議論には、「債務上限」が絡んでくると思われる。アメリカでは、3月15日に国債発行残高が、その上限に到達する期限を迎えた。この「債務上限」問題は、いまのところ、4月28日までのつなぎ予算と「Extraordinary measures」という緊急時に使える特別な枠によって、かろうじて政府機能を維持させている状況である。

また、「債務上限」の議論では、政府機能の停止というリスクもあるが、それよりも重要なのは、トランプ政権の目玉である財政支出拡大の制約条件になりうるという点である。議会の共和党が、財政規律を重視するのであれば、トランプ政権は「長期停滞」を打ち破るような大幅減税を実施することが不可能になるはずである。

「財政規律を重視する共和党議会がトランプの大胆な財政拡張政策を阻止する」可能性は、マーケットで既に取り沙汰されていることを考え合わせると、オバマケアの代替案の採決回避を悲観的に捉えるマーケット参加者は、やはり税制改正案の先行きはもっと悲観的に捉えると考えた方が整合的ではなかろうか。

従って、オバマケア代替案の採決が先送りされた段階で株価が下げ止まったということは、必ずしもトランプの経済政策に対する期待が剥落したわけではないと考える。