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格差・貧困 美術・建築 週刊現代
17LDK茶室つき!目下の悩みは「家が広すぎること」
東京・大阪「大豪邸」の主に話を聞いた

●17LDKに茶室、60mの廊下を孫が全力疾走
●建築費1000万円の総檜造りの風呂
●庭には梅や桜が咲き乱れ、100人を呼んで「お花見会」
●邸宅内のプールで有名女性芸能人の写真集を撮影
●池には百匹の鯉が泳ぎ、庭で亀が自然繁殖
●芝生の水やりに一回2時間、庭師に年間300万円払う

東は田園調布に松濤、西は六麓荘――。そんな名だたる高級住宅街ではないところにそびえる数々の大邸宅。持ち主に話を聞いてみると、豪華な暮らしの一方で、金持ちならではの苦労も垣間見えた。

松下幸之助が持っていた広大な土地に

大阪・四條畷市内のとある駅から徒歩数分、ありふれた住宅街の一角に、突如として1500坪の超大豪邸が姿を現す。

「この辺りの土地はかの松下幸之助さんが所有されていたんですが、ご縁があって譲って頂いたのです」

こう語るのはこの家の現当主・赤城雅彦氏(仮名・70代)だ。府内でも知る人ぞ知る「有名豪邸」の持ち主である氏が、今回匿名を条件に、いままでメディアに公開したことのない邸宅内部の取材に応じてくれた。

もともとこの一帯の土地を開墾したのは開発業を興した赤城家の先代の当主で、戦後に山を切り開いて住宅地を造成。一大財産を成したという。その一角を一時期、松下家が保有していたというわけだ。

門をくぐると、目を見張るような光景が広がっていた。庭木の一本一本まで見事に整えられた日本庭園は、まるで寺院の如き趣がある。

桜や梅、桃、藤などが季節ごとに咲き誇り、とりわけ、桜が満開となるこれからの時期には庭園でお茶会を開催。100人を優に超える錚々たるゲストたちが庭に集い、花見を楽しむという。

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「草木を整えるために、庭師の方に一年の4ヵ月ほどはウチに通いつめてもらっています」

もうひとつ目につくのが、庭園のそこここに並ぶ巨大な石塔や石灯籠だ。形は様々だが、長年の風雨をかいくぐった末の落ち着いた風合いとどっしりとしたフォルムが、庭園全体に重厚な趣を添えている。

先代当主の趣味で買い集めたというこの石塔・灯籠は全部で30本。

「だいぶ昔に先代が買い集めたもので、私どもには何がなんだか」

赤城氏はこう控えめに語るが、本誌が専門家に尋ねたところ、同サイズの石灯籠を現在購入しようとすれば「一本100万円はくだらない」という代物だ。

この広い庭を抜け、ようやく玄関まで案内してもらうと、まず目に入るのが、高さおよそ10mはあろうかという吹き抜けの天井から吊るされた豪華絢爛なシャンデリアだ。無数のクリスタルが光を反射し、まばゆいばかりの輝きを放つ。

床には優雅なグレーの絨毯が敷き詰められ、左手には10人近くは優に座れるソファーセットが鎮座している。

だが、この「部屋」はあくまで玄関に過ぎない。二階建てのこの建物の全部屋を合わせると、9LDKになる。

さらに、2階に上がる階段の右手にある、上品なグレーの絨毯が敷き詰められた幅の広い廊下の先を見遣ると、なにやら別の建物に続いている。

「あの廊下はだいたい60m。後から建てた息子の家とつながっているのですが、孫が小さいときはよくかけっこをしていましたね」

大富豪・大屋政子とお友達

敷地内にはこのシックな洋館とは別の現代的な建物が建っており、赤城氏の長男夫婦はそちらに居を構えている。これだけではない。洋館の奥には、平屋建ての日本家屋がある。

「あれは先代が建てた日本家屋で、8部屋ほどあります。でも、私が幼いころにもともと住んでいたのは隣の4間ほどの日本家屋。そちらは古くなったので、今はお茶を習っている息子の嫁が茶室として使っています」

3LDKのお茶室とはなんとも贅沢だが、お茶仲間を呼ぶ時に恥ずかしくないよう、本格的な上がり框まで備え付けたという。

長男夫婦の住む建物については「留守にしているので」と詳細は教えてもらえなかったが、先の洋館、日本家屋、茶室だけでも部屋数は計20部屋にもなり、桁違いのスケールが窺い知れる。

一度洋館を出て裏手に回ると、正面の日本庭園とは趣の異なる、広々とした芝生の庭が見える。

普段はパターゴルフの練習や、バーベキューに使っているという芝生エリアのさらにその奥には、プールがある。

全長10mほどのプールが4コース、真横には更衣室も完備されており、来客も安心して楽しめる気配りがなされている。

「このプールは女優の水沢アキさんの写真集の撮影に使われたんです。ちょうど婚約をされて騒動になっていたころ、マスコミの目をかいくぐってウチに訪ねてこられてね。奥にあるベンチに座って写真をとられました。綺麗な方でしたよ」

洋館には、その撮影の際に贈られたという水沢アキのサイン入り写真が大切に飾られている。

さらに、赤城氏が家族ぐるみで親しくしていたというのが、実業家でタレントとしても活躍した、故・大屋政子だ。

大屋といえば、帝人を世界的な繊維メーカーに育て上げた名経営者・大屋晋三の妻にして、自らもゴルフ場経営などで財産を増やし、総資産は300億円とも言われた大阪を代表する大富豪。

「大屋さんが所有されていたゴルフクラブの会員だったことをきっかけに仲良くしていただきまして、一緒にヨーロッパ旅行にも行きました。ハンガリーに行ったときは当時の大統領と一緒にオペラを鑑賞しました。大屋さんの人脈の広さに驚かされましたよ」

桁違いの豪邸に住む人のエピソードは、やはりスケールが違う。
いまでこそ、父の代から続く建設会社の会長として辣腕をふるう赤城氏だが、大学時代は獣医学を専攻し、獣医になることを目指していた。

「父が家主だった時代は、庭で鶏や豚、七面鳥を放し飼いにしていたので、動物の生態を家で自然と学ぶことが出来ました」

意外というべきか、目下の赤城氏の悩みは、「家が広すぎること」。

「息子夫婦は別棟に暮らしているので、広い3棟で生活しているのは私と妻、あとはお手伝いさん2人だけ。私も年齢を重ねて足腰が弱ってきたので、移動がおっくうになり、数部屋しか使わない」

庶民からすればなんとも贅沢な話だが、これも超がつく大豪邸の主ならではの悩みといえる。