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企業・経営

三越伊勢丹「社長クビ」の裏にある醜悪な社内抗争

飛び交う怪文書、大西派の粛清…

社長が突然クビになる――日本を代表する百貨店で起きた異例の解任劇。混乱収まらぬ中、今度は「怪文書」まで飛び出した。落ちていく名門の評判。混迷を深める三越伊勢丹の「お家事情」に迫る。

赤坂に買った「別宅」

〈(大西氏が)皆の反対を許さず、強行した免税店、サロン等の中小型店、思い付きと外部の食い物になっている投資の数々、実績は計画の半分以下は当たり前、2割に満たないものも多い〉

〈経営そっちのけで大物ぶって売名行為に没頭する社長に周囲の幹部は口を閉ざしているが、社外役員の大物経営者達も眉をひそめているそうだ。内容のない自著の本を経費で配ったときは、末端の販売員まであきれ返ってしまった〉

〈あまりの状況に社長自身自分でもどうしていいか分からずに病院通い。部下は同情どころか早く倒れることを願っている〉

三越伊勢丹HDの大西洋社長(3月31日付で退任)が、役員らのクーデターによって事実上のクビに追い込まれた「お家騒動」。

大西派、反大西派の激しい対立から、三越伊勢丹の社内では、こうして大西氏を誹謗中傷する怪文書まで出回る騒ぎが続き、いまだ混乱が収まる気配はない。

それどころか社内では、追いうちをかけるようにさらなる怪情報が流れ始めた。

「大西氏が現在の夫人と別居中で、離婚して別の女性と再婚する」というのが、その情報の中身。三越伊勢丹関係者が言う。

「社内に出回った怪文書の中に〈ハーレムのように秘書を増やし〉と、大西さんがさも女好きであるかのようなことが書かれています。

しかも、大西さんは'15年、東京・赤坂に新たに億ションを買い、平日はそこで過ごしているという話も聞こえてくる。それで、『そこで新しい女性と暮らすつもりではないか』と噂されているのです」

 

はたして、そんな事実はあるのか。本誌は東京・八王子市にある大西氏の自宅を訪れた。

戸建てが整然と並ぶ広大な住宅街の中、「百貨店の雄」の社長宅にしてはこぢんまりとした二階建ての家がある。

インターホンを押すと、夫人が出てくる。その場で話を聞いた。夫人は物腰の柔らかさを保ちつつも、困った表情を浮かべながら語った。

――大西さんが離婚をするという話があります。

「そんな話が出ているんですか……。全然そんなことありません。離婚なんてありえないです。

そういう変な話を流されてしまうんですね。伊勢丹のOGの方からも『離婚の噂があるけど大丈夫?』と聞かれました。どこからそんな話が出るんでしょうか」

――自宅とは別にマンションを購入した?

「はい、2年前の夏に主人が体を壊し、首の後ろ側に強い痛みを訴えるようになりました。ここ(郊外の自宅)からの通勤が大変で、一旦は麻布十番にマンションを借りたのですが、それでも大変なので現在のマンションを購入しました。だからそういう話が出るのかなあ。私も週2~3回はマンションのほうに行っています。

主人はしっかり武藤(信一元会長・故人。三越と伊勢丹の統合を実現した)さんの遺志を引き継いでやっていこうという気持ちでいたんですけどね。本当に……。なのに、なんでこんな話が出てくるんですかね」

「主人は脇が甘いので……」

――辞任の話も含めて、リークが多いのでは?

「主人はすごく脇が甘いというか、誰の相談にも乗っちゃいます。私にも、『今日はこの人とご飯を食べてきた』とかって言いますから、『気をつけなきゃ』と注意はしていたんですけど」

終始丁寧に、だが困惑した様子で夫人は話し、頭を下げながら家に戻って行った。