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子どもに対してこれだけはやるな!カウンセラーが明かす逆算の育児法

【新連載】世代間連鎖を防ぐ子育て論
信田 さよ子 プロフィール

原因探しをしない?

臨床心理学や精神医学の分野にはさまざまな援助や治療の方法・理論がありますが、その中でも家族療法は興味深いものです。

個人を治療するのではなく、個人に焦点を当てて問題点を探り当てるのでもない。家族療法は、家族そのものを対象とします。

中でも家族をひとつのシステムとしてとらえるシステム論的家族療法(以下家族療法と略す)は、近年のITの発想と通じるところがあります。

システムというものは、ほんの一部が機能しなくなるとすぐに全体に影響してしまいます。システムの誤作動がビル全体の働きを止めてしまうこともあります。家族もそれと同じで、たとえば子どもが4日間登校しなかっただけで、他の家族にも大きな影響を及ぼします。

しかし家族療法がITと異なるのは、原因追及をしないという点です。

原因を探るならば、たとえばその子の発達状態を調べるとか心理検査をするという方法もあるでしょう。いやそうではない、親の育て方が問題なのだとして、母親への面接を繰り返すという方向性もあります。

本人か母かという区別を除けば、いずれも「因果論」(原因があるから結果としての問題が生じている、だから原因を除去すれば問題は解決される)を前提としていることは同じです。

家族療法はこのような考え方を斥けます。

家族において生じる問題は、原因があるわけではないとするのです。

 

驚かれるひともいるでしょう。ちょっと知識があるひとほど、何か起きるとすぐに「原因は何か?」と考えてしまうものです。

家族療法においては、原因・結果ではなく、悪循環が起きているのだとします。正確に言えば、因果論から循環的認識論への転換を示唆します。

カウンセリングにおいても、因果論は有害になることがしばしばです。子どもに問題が生じると、周囲も夫も、そして子どもも「母親が悪い」と母親原因説の大合唱になりがちだからです。

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それがいったい何を生み出すかと言えば、原因だとされた母親の傷つきや孤立感が、「あんたが不登校にさえならなきゃよかったのに」とばかりに、本人に向かうさらなる支配や締め付けにつながり、まわりまわって本人の状態を悪化させかねない事態です。

私たちカウンセラーの仕事は、原因を見つけ、犯人を摘発することではないのです。生じた問題を解消・解決することなのです。

不登校だった子供が学校に行けるようになること、行けないとしても毎日を楽しく過ごせるように、フリースクールでのびのび暮らせるように援助することが仕事なのです。