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学校・教育 子育て
子どもに対してこれだけはやるな!カウンセラーが明かす逆算の育児法
【新連載】世代間連鎖を防ぐ子育て論

子育て本が母親の不安を増している

書店を訪れても、インターネット上のサイトを見ても、世の中には実にさまざまな育児書や子育て本があふれていることをご存じでしょうか。

近年ではそれらが子どもの年齢別に細分化され、男の子、女の子、一人っ子、などによってバージョンが違っているのを見ると、ちょっとめまいがしそうな気がします。

またここ数年は、元気な中高年の登場によって、祖父母、ジージ・バーバのための孫育て本まで登場しています。

古稀を過ぎた私の子育て時代を振り返ってみると、1970年代には小児科医の書いた本が数種類あっただけではなかったでしょうか。それらもいわゆるゼロ歳児期を過ぎると、おおざっぱな心構えを書くくらいで、現代のような手取り足取りといった微細な記述はほとんどありませんでした。

核家族が大量に生まれてはいましたが、私のように身近に祖父母がいないという育児環境に置かれる女性たちは、当時まだまだ少数派だったことも大きかったかもしれません。実母や姑の経験則による育児が影響力を保っていたのです。

現在のように、育児書がここまで具体的な方針を示してくれるようになって、多くの母親たちは育児不安から解放されたのでしょうか。

現実はその逆ではないでしょうか。情報がさまざまにあふれることで、いったいどれを信じていいのか、どの本に書かれていることが適切なのかがかえって見えなくなっている気がします。道が3本しかない時の迷い方と、5本も6本もあるときの迷い方では違ってくるでしょう。

子育てに関する情報が多様化し氾濫することが、多くの親を不安に陥れてしまう危険性があること。

子どもを性別や年齢によって細分化することで、対応がパターン化されてしまい、それによってパターンどおりに実行できない親が自分を責めてしまいがちであること。

この2つが問題点として見えてきます。

育児書を読むのは母親だけ?

視点を少し外にむけて、子育てをめぐる状況を考えてみましょう。

この20年ほどで家計収入の二極化が進み、中間層が減少しました。また女性の有職率が上がり、仕事も育児もという生き方が肯定的にとらえられるようになったこと、非正規雇用者の割合が増大して家計収入を維持する必要が増したことなどから、共働きが当たり前になり、専業主婦は少数派となりました。

さらに、高齢者が増えるとともに祖父母の孫育てへの参入もあたりまえとなりました。非婚少子化という言葉がマスメディアでとりあげられるようになって久しいですが、結婚年齢の上昇に伴って30代の出産が珍しくなくなりました。

このようにあげていくときりがありませんが、21世紀に入って子育てをめぐる状況が大きく変化していることに間違いはありません。

 

ただ変わらないことがあります。そのひとつは「育児書を読むのは母親」というものです。本連載も、主として母親を対象としています。できれば父親である男性にもぜひとも読んでいただきたいというのが私の願いなのですが。

もうひとつ変わらないもの、それは「育児をめぐる不安」です。少子化の背景である結婚年齢の上昇と出生数の低下を考えると、少なく産んで大切に育てるという親の姿勢が浮かび上がります。

このことが「この子に何かあったらどうしよう」という不安、「育て方しだいで子どもがどうかなってしまうのではないか」という不安へとつながっていきます。

子育てとは、日々の対応に追われながら、明日はどうなるだろう、これでいいのかという不安を抱えながら行われているものなのです。それでももっと大きな喜びや楽しみによって、かろうじてバランスをとっていくものだと思います。

子育てをしている女性たちには、自分一人の努力で不安を解消しようと思わないでほしいのです。夫との関係や、親との関係、そして身近で支えてくれる知人や友人との関係が大きくそれに影響します。そのことはどれだけ強調しても、し過ぎることはありません。