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企業・経営
えんぴつ一筋30年「uni」が世界100ヵ国で愛される理由
'15年には過去最高益を更新!
uniの数原英一郎社長

創業1887年(明治20年)、昭和33年に高級鉛筆「uni」を発売、以降鉛筆のシェアNO.1を続ける三菱鉛筆を取材した。紙の上を滑るような書き味の油性ボールペン「ジェットストリーム」や、シャープペンシルの芯が少しずつ回転し、常に先がとがった状態で書ける「クルトガ」など、同社はなぜ数々の人気商品を生み出せるのか。

社長就任30年、ペーパーレス時代にもかかわらず'15年に過去最高益を更新し、会社を堂々たるグローバルプレーヤーに成長させた、社長・数原英一郎氏(68歳)に話を聞いた。

なぜ六角形か

【六角形】

鉛筆の発祥は1560年代にさかのぼります。イギリス中西部のケズィックという町で、不純物が混ざっていない黒鉛の塊が発見されたのです。黒鉛は軟らかく、いろんなところに字や絵が書けたため、糸を巻き付けて握る部分を作り、筆記具として使われはじめました。

その後黒鉛は掘りつくされ、塊で採れなくなったのですが、新たに粘土と黒鉛を混ぜて焼き固める、現在の製法が発明され、当社が国産鉛筆として初めて量産化を果たしました。

 

鉛筆が四角形でなく六角形なのは、握りやすくするため。また、六角形なら芯を保護する木材をカットしやすいからです。ちなみに私は以前、ケズィックを訪ねたことがあります。

【uni】

当社がイノベーティブな企業になったのは、先代の社長が「uni」を開発した頃からです。彼が海外視察に行くと日本製の鉛筆の評価が意外なほど低かった。そこで「輸入品の影響を脱した高級鉛筆を独力で開発しよう」と会社の総力を挙げたんです。

黒鉛と粘土を細かく均一な粒子にする必要があったため、粉に風を当ててその飛距離を測り、粒子の均一さを見ることまでしたそうです。努力の甲斐あって「uni」は1本50円、現在でいうと700円ほどの価格でしたが、飛ぶように売れました。この成功体験が、イノベーティブな商品をつくり続けよう、という原動力になっています。

【2つの体験】

米国留学から帰ってきた昭和49年、当社へ入社しました。私には2つの原体験があります。まずはオイルショック。当時は景気が悪く、当社の売り上げも昭和49年から50年の1年間で約20%も下がるなど、皆将来に不安を感じていました。

もうひとつは景気が回復した数年後、新規事業を手がけたこと。バッテリーで動くブロック玩具を作ると、国内外で大ヒットしました。ところが、第2弾、3弾と展開できず終売になり、事業を続けることの難しさを知りました。

私はこの体験が今も経営に活きていると考えています。事業は、目先の調子がよくても、いつか必ず不調の時期がくる、と記憶に刻まれているからです。