野球
WBC・メジャー選手の「出る・出ない」の判断基準はどこにある?
青木は出場したけれど…

アメリカでは大学バスケの方が扱いが上

WBCが終わりました。セミファイナルとファイナルは僕もしっかり見ていましたが、それぞれいいゲームでしたね。日本の結果は残念でしたが、菊池(涼介/広島東洋カープ)のホームランもしびれましたし、菅野(智之/読売ジャイアンツ)、千賀(滉大/ソフトバンクホークス)らの粘投も光りました。

アメリカに乗り込んでのアウェイにもかかわらず、あれだけのゲームができるというのは、日本の野球の質の高さを示した、と言っていいと思います。

しかし、現地は日本同様に盛り上がっているかといえば、正直、そんなことはありません。アメリカが勝ち進んだ決勝こそスタンドは埋まりましたが、準決勝はかなり空席が目立っていました。WBC関連の報道が連日あるわけではなく、優勝した翌日はそれなりに露出しましたが、「選手はいい形でシーズンを迎えられる」みたいなシーズンありきの書かれ方も多かったですね。

1次リーグから、MLBネットワーク(http://m.mlb.com/network)で全試合、放送していましたが、逆にいえば、ライブはその中継だけでした。コアなファンはその映像もチェックしていたみたいです。

それも、例えばオランダ代表のショートは(アンドレルトン)シモンズという(アナハイム)エンゼルスのレギュラーなんですが、エンゼルスのファンが「おお、シモンズ、調子良さそうやな。ケガせんといてな」という感じのものですね。オランダか勝とうがアメリカが勝とうが基本的には関係ないというのが大多数のファンの在り方です。

 

そもそもアメリカのスポーツの成り立ちは、地域性の強いものですから、仕方ないのかもしれません。我々のように「日本列島が揺れた」という、オリンピックやサッカーワールドカップでの、熱狂的に国を挙げて応援するというスタイルにはなかなか辿り着かないんですよね。

今はカレッジバスケットボールの全米大学男子バスケットボールトーナメント、通称“マーチ・マッドネス”が開催されています。アメリカ国民が100人いて「WBC決勝とマーチ・マッドネス、どっち観る?」と聞いたら97人くらいは後者を選ぶでしょう。多くのスポーツファンはこれが終わってから「おお、そろそろベースボールが開幕やな」という流れで、シーズンを迎えます。

WBCが軽視されているワケではないですが、「野球の世界一を決めよう」というキャッチフレーズどおりに受け取っている人は……いないでしょうね。「何年かに一度、スプリングトレーニングとオープン戦の時期にやっているちょっとしたトーナメント」というくらいの認識だと思います。

優勝したアメリカ代表ですが、間違いなく過去最高のメンバーだったとは思います。各球団のレギュラークラス、あるいはローテーション投手が名を連ねていました。特にブルペンは豪華なメンバーが揃っていたと思います。

ただ、彼らは間違いなくスターではあるけれど、スーパースターとまではいかない。あるいはスーパースターへの階段を登っている候補といったクラスでしょうか。レジェンド、エース、看板選手はなかなか出てこないです。

というのも前述の通り、こっちではWBCよりも圧倒的にシーズンのほうが大切なので、アメリカ代表チームも無理に選手を誘いません。オファーとしては「来てくれたらありがたいけど、どうする?」という断りやすい雰囲気のものだと思います。

またエンゼルスを例に出しますが、西海岸のスーパースターであるマイク・トラウトは出ていませんでしたよね。間違いなくオファーはあったはずです。それでも「シーズンに集中したいので」と言えば「そうか、分かった。シーズンでの活躍を期待しているよ」と応じてくれる。ファンも「あいつ、チーム第一に考えてるな。よっしゃ今年は特に応援しよう」となる。それがアメリカの野球なのかもしれません。