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銀行がどうしても知られたくない「カードローン」の大問題
「悪しき工夫」をいつまで続けるのか

銀行は総量規制の枠外

銀行のカードローン・ビジネスの拡大が問題になっている。

一方、銀行業界はこの問題をまだ世間に取り上げられたくないと思っているようだ。金融業界の専門誌『週刊金融財政事情』(3月20日号)最新号が「急浮上する銀行カードローン問題」という特集を組んでいる。

この中の解説記事に、「法改正を含めた永田町の動向は業界関係者にとって引き続き無視できないリスクとなっている」との記述がある。

 

しかし、筆者の元にも他メディアから同じ問題意識の取材が複数ある。銀行のカード・ローン問題はすでに広く社会的なレベルに拡大しているように見える。国民から見ると、「永田町のセンセイ達が適切に動いてくれないことの方がリスクだ」という状況なのではないか。

個人向けの無担保ローンは、いわゆる消費者金融業者の貸出と取立てが社会問題化したことを受けて、2006年に貸金業法が改正されて、総額で借手の年収の3分の1を貸出額の上限とすべしという「総量規制」が設けられた。

当時は10兆円を超えていた消費者金融会社の貸付金額はその後急減し、昨年3月末現在で総額4兆円を割り込んでいる。他方で、銀行の個人向けカードローンは増加しつつあり昨年3月末には5兆1千億円を超えている。

すなわち、個人ローン市場にあっては、消費者金融会社と銀行の立場はすでに逆転しており、銀行が主役なのだ。

ところが、もともと貸金業法の改正時に銀行の個人向け無担保ローンは、借手の年収の3分の1を上限とする総量規制の対象外とされており、現在では、銀行と貸金業者の借り入れを合わせて年収の3分の1を超えるケースが増えてきた。

なぜ銀行が総量規制の適用から除外されたのかは、今となっては不可解に思われるが、『週刊金融財政事情』の記事には、「過剰な信用収縮が発生しないよう、“金融経路”を残しておく必要性や、銀行は独自に審査を行うはずという信頼が背景にあった」との記述がある。

いわば「抜け穴」を意図的に残したような経緯があったのかもしれない。しかし、それ自体があきれた理由の抜け穴と思えるが、その批判を脇に置くとしても、「消費者金融+銀行の個人向けカードローン」の残高は近年増加に転じており既に信用収縮など心配する段階ではない。

また、銀行は個人向けローンにノンバンク(系列である場合もそうでない場合もある)の保証を付けていることを見ても、独自の審査など機能しているようには見えないし、独自に審査しているとしても、それは、顧客のためではなく、第一義的には自行の収益のためだろう。

貸し金業法改正から10年が経った。「抜け穴」を塞ぐべき時期だろう。

また、銀行は、簡単な手続きで借り入れが出来て利用が容易であることを、TV、新聞、雑誌などのメディアの広告を使って消費者にアピールしている。

借金をする側から見て、銀行の方が消費者金融会社よりも「怖くない」というイメージもあるし、銀行の方が、経営規模が大きいこともあって、カードローンのビジネスは伸びている。

要は、銀行は自らが営業窓口になることによって消費者金融ビジネスに乗り出し、実質的に消費者金融会社の顧客獲得窓口を務めるとともに、貸金業法が定めた「総量規制」を骨抜きにする役割を果たしているのだ。

記事によると、銀行のカードローンの上限は高くなっており、1000万円〜1200万円程度に設定されている商品も少なくなく、また、金利も1%台から14%台まで多様であるという。今や、銀行自体が消費者金融業者と変わらない。それなのに、銀行には貸金業法の規制が及んでいないのだ。

貸金業法が定める年収の3分の1の「総量規制」は、第一義的には借手である消費者を保護することに意味があるはずだ。どこから、借りるにしても、過大な金額の借金が借手にとって負担であることに変わりはないのだから、貸金業法を改正して銀行の個人向けローンも総量規制の枠内に含めるべきだろう。

付け加えると、そもそも個人向けのローンであり、借手・消費者の保護に留意しなければならないのだから、銀行の個人ローンビジネスは、総量規制が適用されるだけでなく、広告・宣伝や情報の提供などに関しても、消費者金融会社と同等あるいはそれ以上(顧客は銀行を信用しているので「それ以上」にも根拠がある)の規制の対象でなければならないだろう。

 
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