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盗聴・録音された「セックステープ」が大流出?あるモーテルの秘密

「ほんと、多いよ、人妻の浮気」

モーテルの天井裏に覗き穴

ニュー・ジャーナリズムの騎手と呼ばれるゲイ・タリーズ(1932年2月7日〜)には、スワッピングをテーマにした『汝の隣人の妻』、ニューヨークタイムスを扱った『王国と権力』、マフィアを描いた『汝の父を敬え』などの大作がある。

85歳になるゲイ・タリーズは今年になっても創作活動は衰えず、新作を発表した。

タイトルは——『覗くモーテル観察日誌』(白石朗訳・文藝春秋)。

アメリカのモーテル経営者が30年間にわたり天井裏からカップルの赤裸々なセックスを覗き、ノートに観察日誌を書いていた。それを1980年にタリーズに渡したのだった。中身が中身だけに、タリーズは刊行に慎重になり、40年近く寝かせたのだった。

モーテルはアメリカで発達した車で入れる専用ホテルであり、モータリゼーション・ブームになった1960年代に爆発的に増えた。日本でも70年代に増殖したが、アメリカはビジネス・リゾート的なホテルの色合いが強いのに対し、日本では車で入るラブホテルという違いがある。

日誌を提供したモーテル経営者は全米のごく平均的でまじめな白人男性であったのだが、モーテルを買い取ると、21室のうち12室の天井裏に通風孔に偽装した穴を空け、客たちの生態を覗き見したのだった。

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おまえは「屋根裏の散歩者」(by江戸川乱歩)か、と突っ込みを入れたくなるが、男には視覚によって性欲が昂進し、なかには窃視症といって女性の裸体を覗き見する癖が止まなくなった病的な男も少なからず存在するのだ。

モーテル経営者もその一人だけあって、日誌はリアルだ。

 

ノートの記述の一部——

50歳前後の白人夫婦がオーラルセックスを楽しみ、妻の口から白濁液が垂れてくる。

ベトナム戦争で右足を失った兵士とその妻のぎくしゃくした関係とセックス(モーテル経営者は夫婦の離婚を予見する)。

両親と17歳の兄、14歳の妹が1週間連泊したとき、両親がいない合間、マリファナを吸った兄妹はいつものように性交する。

品のいい夫婦と連れの男によるグループセックス。

2人の若い白人女性による濃厚なレズビアン。

ときには麻薬取引がもつれ女が殺害されてしまうところを目撃してしまう。

マリファナやベトナム戦争が70年代的な背景を物語る。夫婦と単独男性による3Pも、当時は”グループセックス”という呼称だ。