国際・外交 政局
激動の世界に目を向けないような国会は、解散したほうがいいのでは?
森友事件に引きずられている場合なのか

貿易戦争ののろしがあがった?

日本の国会は森友事件一色だ。だが世界に目を転じると、経済も安全保障も一段と雲行きが怪しくなっている。国会は怪しげな人物の言動に振り回されている場合なのか。

まず米国のトランプ政権である。政権発足からしばらく、株式市場はトランプ・ラリー(活況)に湧いていたが、にわかに不透明感が増してきた。東京市場は3月22日、NY市場の下落に引きずられた形で大きく値を下げた。

市場関係者が懸念したのは、政権が打ち出した減税政策がいっこうに具体化されない点である。加えて、18日に閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議も悪材料になった。G20の共同声明から「保護主義に反対する」趣旨の文言が消えたからだ。

G20の声明は、これまで必ずと言っていいほど「保護主義に反対する」趣旨の文言を盛り込んでいた。たとえば、昨年7月のG20財務相・中央銀行総裁会議は「あらゆる形態の保護主義に対抗する」と訴えたし、同9月のG20首脳会議も「保護主義を拒否」すると書いていた。

麻生太郎財務相は会議後の会見で「『毎回、同じことを言うな』って言って、次のとき言わなかったら『なんで言わないんだ』という程度のもの」と語り火消しに努めているが、私は軽視できない。

 

トランプ大統領はかねて中国や自動車問題を抱えた日本、あるいはメキシコを念頭に、20%とか38%といった数字も挙げて高関税を課す発言を繰り返してきた。そんないまだからこそ、保護主義に反対するのは重要ではないか。

トランプ氏が大統領に就任して初めてのG20で「保護主義に反対する」文言が盛り込まれなかったとあれば、どう見ても「米国が反対したから」に決まっている。自由貿易の旗手だった米国が、あきらかにスタンスを変えてきているのだ。

かろうじて共同声明に「さらなる包摂性」なる言葉が残ったのは救いだったかもしれない。日本語だと分かりにくいが、英語は「greater inclusiveness」である。経済成長は少数の先進国だけが享受するのではなく、新興国や途上国を含めた多くの国が恩恵に与るようにすべきだ、と訴えている。この言葉はこれまでも入っていた。

世界が保護主義に走れば、資源の豊かな国と乏しい国、あるいは成長できた国と取り残された国の間で格差が一段と広がりかねない。「そうならないように努力する」と一応は確認した形である。

それでも「米国第一主義」を唱えるトランプ政権は、他国を犠牲にしても米国の利益を優先するだろう。そうなれば、G20や先進国首脳会議(G7)が貿易問題をめぐって激しい対立の場になりかねない。

たとえば米国の貿易不均衡が拡大し、トランプ政権が悪名高い通商法301条を発動したとする。この条項は米国が特定国の貿易慣行を不公正と認定すれば、一方的に制裁を発動できる、という内容だ。世界貿易機関(WTO)協定違反の疑いもある。

米国はWTOの紛争解決手続きに基づくパネル(小委員会)裁定を受けて、実際の発動を控えてきたが、トランプ政権が発動するようなら、日本を含め各国が黙っているわけがない。つまり、今回のG20は新たな貿易戦争の序章なのかもしれないのだ。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら