企業・経営
東芝にくすぶる「新たな不祥事」の火種
どうやら冗談ではないらしい
町田 徹 プロフィール

こうした政府・経済産業省の東芝贔屓は、以前から囁かれていた。筆者も2012年5月15日付「国有化の裏で東電が構築を目論む、NTTが27年前に放棄した『私的独占網』とは?」で東電問題の観点から書いたが、実は政府・経済産業省は、東京電力の再建に絡めて東芝に不自然な肩入れをしていた。

東京電力はこの頃、経済産業省の出先のような存在だった原子力損害賠償機構の指導の下で、無線を使って家庭や事業所の電気料金を自動的に検針・集計・請求するシステムの構築を計画していた。

しかし、肝心の技術仕様について、関係者から「東電と関係の深いメーターメーカーしか入札に参加できない」「競争メカニズムが働かず、通信市場のインターネットのような市場が生まれにくい」「コストが高騰するのは確実」といった批判が噴出した。

すったもんだの末、最終的に、このシステムを受注したのも、その後のスマートメーター端末の入札でも、圧倒的な強さを見せたのは東芝だったのだ。

当時、事情通の間では、「三菱重工業の買収希望価格(3000億円)の約2倍の高値でWHを買い取った東芝に対して、経済産業省が借りを返そうとしている」との噂がまことしやかに流れ、真偽が取り沙汰されるような状況だったのだ。

 

東芝が抱える不祥事の火種

いずれにせよ、自由主義経済の下では、経営は自己責任だ。清算目的でも再建目的でも、経営危機に陥って必要なら、東芝本体やWHを破たん処理して過去のツケを精算するのは当たり前のことである。

企業規模が大き過ぎて連鎖倒産や雇用が危ぶまれるという理由(Too big to fail)で、政府が公的資金を投入することにうんざりしているのは、世界中の市民の共通の感情だ。イギリスのEU離脱、米トランプ政権成立、そしてオランダの保護主義・右翼政党の台頭などを見ても、そのことは明らかだ。

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さらに東芝問題で注意を要するのは、同社がまたしても新たな不祥事の火種を抱えていることである。

その第一は、前述のように、WH子会社を巡る会計処理で東芝への影響を排除しようと内部統制をないがしろにしたとされる問題だ、内部通報で発覚し、今年2月に予定していた昨年4~12月期の決算発表を3月14日に延期せざるを得ない事態になった。

そして第二が、ここにきて、新たに監査法人から、屋台骨を揺るがすほどの巨額の減損処理が必要になったのは、いつのことだったのかという疑問を突き付けられている問題だ。これが響いて、昨年4~12月期の決算発表を再度、4月1日に再延期せざるを得ない状況に陥ったのだ。

この損失の発生時期について、公認会計士の間では「過年度に遡る可能性が大きい」とみる向きが多い。そうした見方が正しければ、一昨年に続いて、東芝は再び”粉飾決算”(金融商品取引法違反)に問われかねない。非常に深刻な状況にあると言わざるを得ないのだ。

政府・経済産業省が東芝への一切の関与を自重すべきなのは明らかだろう。