企業・経営
東芝にくすぶる「新たな不祥事」の火種
どうやら冗談ではないらしい
町田 徹 プロフィール

その記事は、3月9日付の1面朝刊で日本経済新聞が報じたもの。「WH原発、米が総額83億ドル債務保証」と、あたかもWHが米政府の債務保証を受けているかのような印象を読者に与える見出しが付いていた。

中身を読むと、「地元電力会社に対し総額83億ドル(約9500億円)の融資保証枠を設けて建設を支援している」と書かれている。本来ならば、地元電力会社(記事には名前がないが、ジョージア電力を指す)に対して「債務保証」という見出しを付けるべきところだろう。WHは、子会社がその原発の建設を請け負っているだけである。

しかも不自然なのは見出しだけではない。

 

記事には「東芝はWHの破綻処理も選択肢に原子力事業の再建策を詰めるが、頓挫すれば米国で国民負担が発生しかねない。東芝の経営再建の行方は米政府を巻き込んだ問題になる可能性がある」とか、

「(東芝によりWHへの)破産法(適用)が申請され、原発の完成が大幅に遅れるような事態になれば、電力会社は借り入れた建設資金の返済が滞りかねない。保証を付けた米政府がその一部を肩代わりするリスクが高まる」などと、東芝・WH問題が日米間の外交問題になりかねないと懸念を煽る文言が列挙されていたのだ。

Photo by GettyImages

なぜそこまで東芝にこだわる?

この記事を受けて、政府・経済産業省は各方面で「国際問題化の懸念があり、当事者任せにはできない」「日本政府が関与する必要がある」と言い始め、世耕大臣が2人の米長官の言質を引き出したことを受けて、さらに勢い付いたのである。

しかし、原発の建設は民間企業の契約だ。米政府の債務保証とは無関係の日本政府がいそいそと米政府にお伺いを立てに行くこと自体が不自然である。

これでは、いったいなぜ、政府・経済産業省はそこまでして、東芝を支援したいのかという疑問が沸くのは当たり前だろう。

ちなみに、新たに支援の対象に加えようとしている「半導体・メモリー」について、政府・経済産業省や財界は「技術漏えいが問題だ」と主張している。が、東芝の半導体の売上高は米インテルや韓国のサムスン電子などに大きく後れをとっており、世界シェアは9位に過ぎない。

今さら流出を懸念しなければならないような先端技術を東芝が保有しているとは考えにくい状況だ。