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財務省OBが見た、森友学園問題の本質と予測される「残念な展開」
国会では他に議論すべきことがある
髙橋 洋一 プロフィール

となると、考えられるのは…

そこで、ポイントは2015年9月5日(土)の昭恵夫人の行動である。たしかに、森友学園に講演に行ったのは間違いない。ただし、政府職員が随行者となっている。

昭恵夫人は公職発令がないので私人であるが、随行者をつけている。この要人の随行は、筆者も多少経験があるが、ハッキリ言えば「監視役」である。その点は、被随行者の要人もわかっている。

昭恵夫人は天真爛漫な性格なので、傍から見れば危なっかしい。あえて例えれば、昭恵夫人は安倍政権のセキュリティホールみたいなもので、随行者を4人もつけているのはセキュリティホールのパッチ(修正プログラム)をあてているようなものだ。

随行者の仕事は監視なので、トイレ以外はついてまわる。席を外せと言われても、そう簡単に外すわけにはいかない。これは監視役なので仕方ない。

こうした状況なので、随行者がいる場合、現金の授受をそう簡単に行えないようになっている。官邸は、この随行者から、2015年9月5日当日の状況を確認しており、現金授受の可能性がなかったことを確認しているはずだ。

となると考えられるのは、講演当日、籠池氏が講演料を支払うといったが昭恵夫人がこれを辞退したため、後日それを籠池氏が寄付金処理した、ということではないか。

その場合でも、昭恵夫人が講演料を固持した段階で話はおしまいである。

 

いずれにしても、講演当日に、昭恵夫人から100万円をもらったことを証明することが必要であるが、政府随行者が見ていないところでそれが行われたことを証明するのは、常識的に考えてかなり難しいだろう。

となると、政治関与の可能性は低くなる。であれば、冒頭に書いたように、財務局(財務省)の事務ミスである可能性が高い。

事務ミスの場合、①入札すべきところを籠池氏の熱意にほだされて随意契約にしたこと、②財務省幹部が「政治的な振る舞い」をして随意契約にしたこと、の大別して二通りがありうる。

②を事務ミスというと「間違いだろ」とお叱りを受けることもある。たしかに、財務官僚にはしばしば政治家と見間違うばかりの「政治力」を発揮する猛者もいる。しかし、財務省は所詮官僚なので、その行為は定義上事務である。だから、事務ミスと言わざるを得ない。もっとも、これは官僚には許されざる行為であるが。

その中で、財務省が「忖度」したのではないかという意見もある。消費増税を嫌う安倍首相に対して、財務省が歓心を買うために勝手に森友学園を厚遇したというのだ。

もちろんこの場合、安倍首相に落ち度はない。しかし、財務省OBの筆者としては、これはあまりにナイーブであり、実際はもう少しひねりがあると思っている。