ブルーバックス
謎多き日本最大の科学研究所「理研」、その全貌とブッ飛びの研究成果
ここに日本の未来がある!
山根 一眞 プロフィール
ついに「113番元素」の合成に成功した直後の2012年11月、理研・和光の仁科加速器研究センターに森田浩介さんを訪ねた。黄色い塊が「113番元素」をとらえた検出装置「GARIS」〔写真〕山根一眞

3月14日、東京・上野の学士会館でその命名式典が行われ私も参列した。

臨席された皇太子殿下が、「高校時代に周期表を30枚も手書きして覚えた」というエピソードを紹介された。私は高校時代に、「水兵離別バックの船、なーに間があるシップ直ぐ来らー」の語呂合わせで覚えたが、皇太子殿下はどんな語呂合わせで覚えたのだろう。周期表の語呂合わせは20〜30種類はあって、世代によって異なるからだ。

続いて国際純正・応用化学連合(IUPAC)のナタリア・タラバソ会長が挨拶に立った。会場には、あそこにも、ここにもと、ノーベル賞受賞者を含めた日本を代表する科学者たちの姿があった。こんな厳粛な科学の会を見るのは初めてだった。

そして、タラバソ会長は、まさに「高らかに」こう締めくくった。

IUPAC会長として、113番元素がニホニウムとして命名されたことをここに宣言します

理化学研究所は、奇しくも100周年を迎える日の6日前に、日本の科学界の1世紀以上にわたる悲願を達成したのだ。

この命名宣言は、理研の101年目からの新しい日々の始まりだ。明日から、どんな成果が続くのか目が離せない。

* * *

理研はあまりにも巨大で、私一人でイタンビューを続けることの無力感にさいなまれたが、それでも理研が科学立国・日本の源泉であり、ここに日本の未来の姿があると確信した。

理研の研究者たちの取り組みを知らずして、日本の未来を考え、未来を描くことはできない。70人に続き、まだお目にかかっていない2930人のインタビューを行うことは到底不可能だが、1人でも、1テーマでも多く、日本の科学力を知るための取材を続けねばならないと身の引き締まる思いでいる。