金融・投資・マーケット
世界ではいま、「インフレの芽」が徐々に育ち始めている
今後の重要ファクターはやはりあの男
真壁 昭夫 プロフィール

ドル円相場に影響を与えるトランプリスク

昨年12月のFOMCの時点に比べ、世界的に物価上昇期待は高まっている。米国経済も好調だ。理論的に考えれば、FRBはより積極的に利上げを進めることができるはずだ。

問題は、積極的な利上げ姿勢を示すと、ドル買いが増えることだろう。基本的に、米国には緩やかなドル安が重要だ。そのため、FRBは慎重な利上げスタンスを示さざるを得ない。

こうした見方がドルの上値を抑えている。1月半ば以降、ドル/円はおおむね112円~115円50銭のレンジで推移してきた。

米短期金利の上昇から日米の金利差が拡大して為替レートが115円台に入ることがあっても、すぐにドル売りが仕掛けられる展開が続いている。1ドル=120円台が視野に入り始めると、米国の政府関係者がドル高を牽制するとの観測も多い。

 

重要なファクターはトランプ政権の政策運営だ。まず、早いタイミングでインフラ投資を進められるかがポイントだ。

その上で、トランプ政権がグローバル経済の安定を重視し、米国の企業の生産性向上をサポートすれば、世界経済全体が持ち直す可能性はある。

それは、米国がドル高への抵抗力とつけるためにも欠かせない。ただ、トランプ政権の肝は保護主義政策だ。インフラ投資が一時的に景気を押し上げても、それ以上は見込みづらい。

冷静に考えると、ここから米国経済がさらなる長期的な回復に入るのは期待しづらい。ドル高に加え、金利上昇は住宅投資や耐久財消費を落ち込ませる要因だ。そのため、FRBはトランプ政権の政策を見ながら、後追い的に金融政策を進めざるを得ない。

この結果、依然として、米国の利上げは物価上昇に後れを取りやすい。こうした見方が正しいとすれば、一時的にドルが上昇することがあっても、それは長続きしづらいだろう。