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同志社大学の名物教授が「突然の退職」を通告されるまで
【ルポ・大学解雇】

いま、全国の大学で教員の解雇や雇い止めをめぐるトラブルが急増している。志願者が減少傾向にある私立大学はもちろんのこと、2004年に運営が国から独立した法人に任せられるようになった国立大学法人でも教員の解雇・雇い止めが行われるようになり、特にここ5年くらいで顕著になっている。

「北海道のある弁護士事務所は、大学で教員の解雇が相次いでいることを受け、大学の実態を調査・協議するためのシンポジウムを開催しています」(教員の解雇について調査している札幌学院大学の片山一義教授)

個別の事案を見ていくと、教員の解雇が「密室の協議」によって恣意的に決められたケースが少なくない。理由を明確にされずに、気づいたときには解雇が決まっているのだ。

一体、大学で何が起こっているのか。先日も、西日本を代表する私大のひとつ、同志社大学で教員雇い止めをめぐる裁判が起こり、全国の大学関係者の注目を集めていた。この事例から、雇止めの背景を考えてみたい。

突然通知された定年延長拒否

「大学の不当な行為によって教壇に立てなくなった。もう3年間も裁判で闘っているが、今年7月に69歳になる。このままでは裁判に勝ったとしても、教壇に戻ることはできないかもしれない……」

同志社大学大学院・社会学研究科メディア学専攻の教授だった浅野健一氏は、2014年4月以降、教壇に立てない状態が続いている。大学側が突然「定年延長を認めない」という通知を突き付けてきたためだ。

浅野氏は、大学院の教授にほぼ自動的に認められてきた定年延長を、特別な事情もないのに拒否されたとして、学校法人同志社を相手取り、地位の確認を求める裁判を起こしている。

 

共同通信社の記者だった浅野氏は1994年、ジャーナリズムの研究者として新聞学専攻の教授に採用された。新聞学はジャーナリズム志望者が集まる人気の専攻で、新聞社に入るための「関西の登竜門」ともいわれている。浅野氏のポストはかつて思想家の鶴見俊輔氏が務めていた。新聞学専攻は現在メディア学専攻と名前を変えている。

同志社大学の教員の定年は65歳。だが、大学院の教授だけは1年度ごとに定年延長が認められている。健康上の理由や他大学に移るといった自己都合以外では、定年延長は基本的に認められ、1976年以降、93.1パーセントの教授が1年以上延長し、70歳まで務めた教授は74.9パーセントにのぼる。何の理由もなく定年延長を認められなかった教授はいなかった、といってよい。もちろん、浅野氏も定年延長を望んでいた。

ところが、浅野氏の場合、本人が全く知らないところで「定年延長を提案しない」ことが決められていたのだ。