極右政党・自由党を率いるウィルダース氏〔PHOTO〕gettyimages
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オランダ選挙、反移民「極右政党」の伸び悩みをどう見るか

ポピュリズム旋風に歯止め!?

オランダ総選挙で何が起きたのか

「国の価値観に合わない人は、出て行け」

どっきりするようなメッセージが入った新聞広告がオランダ各紙に掲載されたのは、今年1月のことだ。

旧植民地、中東、北アフリカ、東欧などから多くの移民を受け入れてきた、多文化主義の国オランダのルッテ首相がこんな発言をするほど、「寛容の国」とも言われた国で移民社会への厳しい視線が表面化している。

3月15日に行われたオランダの下院選挙では、ルッテ首相の中道右派の自由民主党(VVD)が最大議席数を獲得し、第1党の座を維持したものの、ヘイトスピーチで有罪となった人物が党首となる反移民・反イスラム教の自由党(PVV)は選挙前の第3党から第2党に浮上した。

オランダで何が起きたのか。

下院選挙に立候補した政党のポスター(アムステルダム市内にて筆者撮影)

16日朝、95%の票が数えられた結果によると、下院の総議席数150のうち、連立政権の与党VVDが33議席を獲得し、第1党を維持。前回より8議席の下落だ。第2党はウィルダース氏の自由党(PVV)で20議席(5議席増)。

これに続くのが中道右派のキリスト教民主党(CDA) とリベラル系の「D66」で両者ともに19議席を獲得した。

大躍進となったのが親欧州、親移民のグリーン・レフト(GoenLinks)党だ。前回から10議席を増やし、14議席を獲得した。PVVとともに連立政権を構成していた労働党(PvdA)は9議席で、29議席の下落という大きな損失となった。

投票率は約80%。過去30年間で最も高い。親欧州とリベラル勢力の議席増加に貢献したと言われている。

比例代表制を取るオランダの選挙では、一つの政党が過半数(76議席)を獲得することはほとんどなく、例年、複数の政党による連立政権となっている。

これから、VVDを中心にどの政党が政権に参加するかの長い交渉が始まる。英BBCの調査によると、連立成立までの交渉期間は平均で約100日となっている。

誰も捨てきれなかった「まさか」の可能性

今回の選挙は国内外から大きく注目され、人口約1700万人の国に海外メディアが大挙した。理由は、反移民・反イスラム教の「極右」政治家ウィルダース氏の政党が初期の世論調査では「第1党になる」という結果が出たからだ。

 

ウィルダース氏は徹底した反移民、反EU、反イスラム教の姿勢で知られる。世界の主要宗教の1つイスラム教のコーランをヒットラーの『我が闘争』と同一視し、オランダ国内で発禁処分にするべき、という。イスラム教の国からの移民流入を停止し、新たなモスクの建設も禁止するよう訴えている。

もしウィルダース氏のPVVが30〜35議席を獲得して第1党となれば、いわゆる「ポピュリスト」旋風が、ドミノ現象のようにフランスの大統領選、ドイツの連邦議会選挙でも発生するのではないか、という危惧が起きた。

ブレグジットもトランプ米大統領の誕生も、多くの知識人の予想を裏切る「まさか」の出来事だった。オランダでも「まさか」が再来するのではという可能性を誰しもが捨てきれなかった。