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北朝鮮高官が初証言!金正男暗殺「実行役の4人はすでに消された」
近藤大介のコリア・ディープスロート
近藤 大介 プロフィール

秘密を知った者は、殺す

――そのような正男氏に、金正恩委員長はなぜ、殺害指令を出したのか?

「私が聞いているのは、正男が米帝(アメリカ)に担がれて、亡命政府を樹立するのを、元帥様が危惧されたということだ。

正男がこれまで、外国で好き勝手にしゃべってきたのは事実だが、それだからと言って、殺す必要まであったのか。その辺りの気持ちは、元帥様に伺わないと分からない」

――金委員長の命令を受けて、実際に犯行に及んだのは、北朝鮮のどの機関だったのか。

「中心になったのは、朝鮮人民軍偵察総局の19課だと聞いている。彼らは血の気の多い連中ばかりだから、久々の海外での大仕事ということで、はりきって遂行したのだろう。

加えて、国家保衛省がサポートしたとも聞いている。その意味では、偵察総局と国家保衛省の『共同事業』と言える」

――猛毒のVXガスは、北朝鮮からマレーシアまで運び込んだのか?

 

「それについては、まったく知らない。おそらくそうだろう。いろんなところに分散して忍ばせれば、少量の薬品をマレーシアまで運ぶのは、それほど難しいことではないと思う」

――マレーシア警察は、実行役として、呉ジョンギル、李ジェナム、洪ソンハク、李ジヒョンの4人の北朝鮮人を指名手配した。だが4人はすでに、ウラジオストクなどを経由して、北朝鮮に帰国済みであることが確認されている。

この4人は帰国後、金委員長の命令を完遂した栄誉を称えられ、「共和国英雄勲章」を授かったりしたのか?

「おそらく先代の将軍様の時代ならば、そうなっていただろう。

例えば、将軍様は幹部同士の密告を奨励していた。そして、その密告が正しかった場合、対象者を粛清した後、必ず密告者に褒美を与え、抜擢していた。そうすることで、幹部たちに忠誠心を植えつけていたのだ。

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ところが、いまの元帥様の統治方法は違う。父親同様に密告を奨励しているが、密告が正しかった場合、対象者を粛清した後、密告者をも粛清するのだ。なぜなら密告者は、知ってはならない秘密を知ってしまっているからだ。

今回の正男の暗殺事件でも、元帥様は、帰国した4人の実行役を、直ちに抹殺するよう命じたと聞いている」