防衛・安全保障 韓国
韓国「親北派」大統領誕生は、日本にとって最大級の危機である
THAADも対北政策も白紙になれば…
長谷川 幸洋 プロフィール

朴大統領失脚のウラを読む

韓国は日本にとって、中国と北朝鮮の脅威を妨げる緩衝材だった。そんな韓国を失うだけでなく、まかり間違って北朝鮮の影響下で朝鮮半島が統一されるような事態になれば、日本は日本海を挟んだだけで、中国と北朝鮮に立ち向かわざるを得なくなってしまう。

そんな全体構図を考えれば、いまの事態は慰安婦問題が白紙に戻るどころの話ではない。日本の平和と安定が直ちに脅かされかねないのだ。「韓国を失う」という意味はここにある。逆に言えば、だからこそ2年前の慰安婦合意は必要だった。

慰安婦合意が日本に屈辱的な部分を含んでいたとしても、それが韓国を日米の側に引き寄せる触媒になるなら、韓国自体を失う事態に比べれば、はるかに安上がりで日本の平和と安定に貢献できたはずなのだ。

だがいまや、それは水泡と化しつつある。

ここからは推測である。まず朴大統領失脚劇の背景には、中国と北朝鮮がいたのではないか。

 

北朝鮮にとって朴大統領が失脚し、文大統領が誕生するのは都合がいい。ろうそくデモの背後に親北派がいたのは、当時から指摘されていた。先に書いたように、それは中国にとっても都合が良かった。

米国は親北派大統領の誕生をなんとしても阻止したいに違いない。米国自身が韓国の内政に直接手を突っ込むとは考えにくいが、表と裏舞台の両面で親北派を牽制するだろう。

韓国内部で親北派と親米派の争いも激しくなるに違いない。軍の親米派がクーデターを画策する可能性も捨て切れない。韓国軍と日本の自衛隊、米軍との関係は良好だ。文大統領の誕生で親米派が一掃されるようなら、軍内部でも緊張が高まる。

北朝鮮情勢も緊迫している。金正恩最高指導者は弾道ミサイルを繰り返し発射し、想定した標的は「日本国内の在日米軍」と公言した。ミサイルは実験段階を過ぎて、実戦配備寸前にある。核開発も小型弾頭化が進んでいる。

米国は新たな対北朝鮮政策を検討中だ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「米国が北朝鮮に対して軍事攻撃する選択肢も検討している」と報じている(http://jp.wsj.com/articles/SB12258386103811603570704582652332729974196)。

そんな中、ティラーソン国務長官が3月16日、来日。その後、韓国と中国も訪問する。

焦点はもちろん朝鮮半島情勢だ。トランプ政権は中国の出方を見極めたうえで対韓国、北朝鮮政策を最終決定するのだろう。ここは大注目だ。