医療・健康・食
末期がんになってわかった「食事療法」の希望と大いなる困難
働き盛りのがん闘病記(7)
朱郷 慶彦 プロフィール

上述した通り、有機野菜を大量に毎日摂取するためには、かなりのお金がかかる。夏場にはお金をかけても、良い野菜が手に入らなくなるのも頭が痛い問題だった。

しかも、スロージューサーで一日数回もジュースを作るのは、かなりの重労働だ。搾るのは簡単だが、スロージューサーを洗うのが大変なのだ。毎回、細かい部品を分解して、歯ブラシで果物や野菜の搾りかすを丁寧に取り除かなければならない。

しかし、ゲルソン療法も、星野式ゲルソン療法も、済陽式食事療法でも、いずれも人参を主体とした野菜ジュースの大量摂取は療法の最大の柱である。

理由は明確にはわかっていない。経験則的に、人参の大量摂取ががんに効くという事実が知られており、大量摂取のためには生で食べるよりもジュースが向いている、ということのようだ。

もちろん正確な理由はわからないまでも、一応の推論は立てられている。

各種実験によると、人参に含まれるビタミンや、β‐カロテンを始めとする複数のカロテノイドががんに効くらしいのだ。カロテノイドは動植物界に数百種類が存在し、それらを単独ではなく、複数同時に摂取するのが良いらしい。恐らくはまだ働きがよく分かっていない成分も合わせての効果なのだろうと思う。

だから、特定の成分だけを抽出したサプリメントではなく、様々な栄養素を含んだ野菜をまるごとたっぷり摂取する方が、がん治療には効果的だということなのだろう。

その野菜の王様が人参、そして側近がレモンとりんごということらしい。

がんが完治したという人の体験談の多くが、この人参ジュースの大量摂取を勧めている。各種食事療法の治療実績から考えても、実際に効果があるのは間違いがないように思える。

しかし、面倒臭さすぎるのと、お金がかかるという2大欠点だけはどうにもし難い。

 

追い詰められた私が見つけた「代替案」

またぞろ、「命がかかってるんだぞ!」という天のお叱りの言葉が聞こえてきそうだ。

いろいろと文句を言いながらも、2015年12月から2016年8月までは、この人参+りんご+レモンの有機野菜混合ジュースを生真面目に飲み続けてきた。

がんの腫瘍マーカーも、5月までは急上昇していったが、6月に初めて数値が下がった。恐らく、食事療法と野菜ジュース大量摂取の効果が大きかったのではないだろうか。

しかし、である。7月に会社の経営危機が勃発し、9月に入ると事態は悪化の一途を辿っていた。もう有機野菜どころではなくなったのである。いかに体に良いと分かっていても、現実的に無理なものは仕方がない。

私は野菜ジュースを放棄した。玄米その他の食事療法は継続したものの、療法のメインである野菜ジュースを放棄せざるを得ないのは痛恨事であった。なんだか、急に具合が悪くなった気がした。今までの心の支え(野菜ジュースを飲んでいるんだから大丈夫)がなくなってしまった。

ここで私は奇跡の出会いをすることになる。

野菜ジュースよりも安く、さらに多くの有効成分が含まれており、しかも圧倒的に安く済む代替案を見つけたのである。

ゲルソン療法等の食事療法をしている人ならば、誰にでも有効な代替案だと思う。

方法は簡単。他の食事療法はそのまま続け、野菜ジュースのみを新たな飲料に変えるだけである。ゲルソン療法を試みた人ならば、これがどれだけ画期的なことだかお分かり頂けると思う。

この代替案のお陰で、毎日のジューサー洗いの重労働と、有機野菜確保の苦労と、さらには毎月の経済的負担の三つの責め苦から我が家は解放されたのである。

その画期的な代替案とは……。

あらゆるエンタテインメントと同様に、ちょうど良いところで 「この先はまたのお楽しみ」 となるのは読者にとっての一種の宿命というものであろう。

次回以降を、乞うご期待!

(つづく)