医療・健康・食
末期がんになってわかった「食事療法」の希望と大いなる困難
働き盛りのがん闘病記(7)
朱郷 慶彦 プロフィール

さらに、者ども喜ぶべし! 「豆類」も解禁になったぞ!

大豆が食べられる。鶏のささみ肉を使った「豆腐ハンバーグ」が食べられるぞ!

卵が1日1個まで許されているから、卵かけごはんに納豆をのせて食べて、「ああ、日本人で良かった〜!」とうなるのも自由である。

「ハチミツ」が許されたということは、星野式で許容された黒砂糖も加えれば、工夫をすれば結構イケてるスイーツも食べられるということではないか。

さらに、乳酸菌が許されたというのも大きい。つまり、ヨーグルトにハチミツを入れて食べることも可能となったのである。朝食の幅が広がって、妻も大助かりである。

済陽医師によれば、ヨーグルトの整腸作用が重要なので、1日300グラム程度であれば摂取した方がよいとのことである。

こんなにゆるくて効果はあるの?

ここで一つの疑問が湧いてくる。

済陽先生、ここまで緩くしちゃって大丈夫でしょうか?

いや、全体としては厳しい食事制限ではあるのだが、ゲルソン療法、星野式ゲルソン療法というイスラム原理主義的な厳しさを目の当たりにした後では、済陽式食事療法は春の日差しを浴びながら昼寝をしているような心地よさすら感じられるのである。

ここで済陽医師の凄いところは、自らの食事療法の治療効果をきちんとデータ化して発表している点だ。

がん患者に対して食事療法を14年間実施した治療成績を数値として公開しているのだ。

 

詳細は済陽医師の著書をお読み頂きたいと思うが、簡単に紹介すれば、乳がん・前立腺がん・リンパ腫など、食事療法が効果を発揮しやすいがんについては有効率が70%にも及んでおり、再発を含む進行がんでも60%以上が改善するという驚異的な結果を残しているという。

参考までに数字を記しておくと、症例総数353件に対して(平均観察期間4年)、完全治癒49件、改善176件、不変9件、進行20件、死亡99件だったという。(以上いずれも、『ガンを消す食事』済陽高穂監修、主婦と生活社より)

以前も述べた通り、私はがんを完全に消滅させることなどは望んでいない。がん細胞増殖をできるだけ食い止め、引き分けの状態で(活動ができる状態で)命を少しでも永らえたいと考えているのである。言ってみれば、がんとの共生を目指しているのだ。

そうした私の方針からすれば、この食事療法は素晴らしいものに思えた。

実際私にとって、この食事療法がすべてのがん治療の土台となってくれた。

体の調子が良くないときや、他の治療法をサボったと時でも、「でも、食事療法は続けているから大丈夫」と心の支えになってくれた。がん治療において、この「心の支え」があるということは、非常に重要なポイントである。

さらには、新たなサプリメントを試すかどうか決める際にも、成分表示を見て、ゲルソン療法から済陽式食事療法に到る教えに明らかに背くもの(食品添加物や砂糖類など)が含まれている場合には、摂取しないと即座に決断できるという、一種の価値基準の役割も果たしてくれたのである。勧めてくれた人にも、「この成分は摂らないようにしているから、ごめんなさい」と断りやすい。

食事療法を最初に学ぶことで、がん治療の根本的な考え方が身につけられたように思う。

頭の痛い野菜ジュース問題

何かと実行が厳しい食事療法ではあるが、済陽式であれば、工夫次第でかなりのメニューが楽しめる。

玄米に納豆と焼鮭(塩鮭ではなく、生の鮭の切り身を焼いたもの)と減塩味噌汁があれば、もう立派な朝ごはんだ。

鶏肉と野菜をたっぷり入れた餃子もOK。

玄米を使えば、チャーハンもちらし寿司もいけるぞ。

スパイスから作る本格インド式チキンカレーなら、塩分や油の調整が自分でできるので食べても安心。

しかし、済陽式でも解決しないのは、野菜ジュースの問題であった。