医療・健康・食

余命1年の宣告から1年…がん「代替療法」を選んだ私のいま

働き盛りのがん闘病記(6)
朱郷 慶彦 プロフィール

代替療法の王者、星野式ゲルソン療法

私が標準治療を拒否して、代替療法に賭けてみようと決心したくだりは、以前述べた通りである(第4回「標準治療か代替療法か、それが問題だ。」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48558

思えば2015年12月15日にがん告知を受け、同時に「余命1年」を言い渡された身としては、この原稿を書いている2017年2月初旬時点で、まだ日々動き回って、仕事もして、こうやって原稿も書けているというのは、奇跡に近いことのようにも感じられる。

もちろん、リンパ節に転移していた腫瘍は喉の左に大きく腫れて傍目からも目立つようになってきており、喉の中も腫れて声が出にくくなってきているのも事実だ。

しかし、当初言われた通り「数ヵ月で腫瘍が悪さを始めるのは間違いない。このまま放置すれば肺や胃など他の臓器に転移が進んで、生きられて1年」と予告された想像図からすれば、出来すぎといっても良い部類ではないだろうか。

少なくとも、末期がん患者のリーグ戦では、優勝争いの真っ最中といったところである。

前にも触れたが、がんが判明してからまず妻が取り組んでくれたのも食事療法である。

食事療法というだけあって、即効性は期待できない地味な療法である。しかし、実行すれば着実に成果が出るということにおいては、非常に心強い療法であるともいえる。

実際のところ、標準治療、代替療法を問わず、他の治療法を選択している人でも、食事療法を合わせて実践しているケースは多い。

バリバリの標準治療派であっても、食事療法をしているからといって非難する医師は少ない。あの早乙女ですら、「まあ、害はないでしょうから、気持ちが落ち着くなら、やられては如何でしょうか」と言っているくらいである。(9ヵ月ぶりの連載再開で、いきなり早乙女などと言われても、誰だそれ? と思われるかもしれない。連載第4回を参照されたい http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48558

そこで、私の治療体験談も、まずは食事療法から始めたいと思う。

 

がんの食事療法でもっとも有名なのは「星野式ゲルソン療法」であると断言しても、誰からも非難は受けないだろう。

がんにかかって、「星野式ゲルソン療法」を知らない、という人間がいたら、そいつはもぐりである。がん患者にもぐりがいるのかどうかは知らないが。

「星野式ゲルソン療法」という名前からして、きっとゲルソン療法というのが先にあって、星野さんという人が改良を加えたのだろうと考えたあなた。そこの、あなたである。あなたは正しい! 見事な論理性である。

想像に違わず、ゲルソン療法は1930年代のドイツにおいて、マックス・ゲルソン医師によって始められたがん治療法である。

野菜ジュースを1日13回!

ゲルソンは、栄養代謝の乱れが酷くなると免疫力が低下し、自然治癒力が落ちることによって、がんが発生すると考える。

そこで、食生活の内容を見直し、栄養代謝の乱れを直すことで、免疫力を高めてがん細胞を自然に消してしまおうという食事療法を編み出したのである。

ゲルソンが考えた食事療法は以下のようなものであった。

1)完全菜食主義

2)野菜&果物を搾ったジュースを1時間おきに1日13回、1日2リットル以上飲む

3)塩は一切摂らない

4)脂肪(脂質・動物性、植物性の油)の制限

5)精白した穀物(白米、小麦粉など)の摂取禁止

ざっと読んだだけでも実行が困難であることが一目瞭然であろう。

肉が食べられないのは我慢するにしても、塩を摂らないということは、ほぼすべての外食は禁止ということである。実際にゲルソンは患者を入院させてこの食事療法を施していたらしい。

野菜&果物ジュースを1時間おきに1日13回飲むのを実行すれば、それはもうすでにジュースを作って飲むことが職業と言っても良いレベルである。しかも、このジュース、農薬を使わない有機野菜&果物に限るというのである。

しかし、この食事療法によってゲルソン医師は実際にどんどん、がん患者を治していったのである。末期がん患者だけでもその治癒率は50%にのぼったというのだから、これは凄い。

ここで読者の皆さんはすでにこう思っているはずである。「食事だけでがんが治れば誰も苦労しないわ!」

分かる。本当にそうである。私も最初、そう思った。早乙女もそう言うことであろう。