医療・健康・食
余命1年の宣告から1年…がん「代替療法」を選んだ私のいま
働き盛りのがん闘病記(6)
朱郷 慶彦 プロフィール

喉の右側の腫瘍が小さくなった

扁桃腺の腫れはやや大きくなってきている。喉を内側から軽く圧迫しているため、声が少し出にくくなってきており、特に「カ行」の音が発音しにくい。日によっては「タ行」も駄目になるので、話が通じにくいことこの上ない。

幼いころから「口から生まれてきた」と褒められてきた(?)私にとって、声が出にくいというのは辛い体験だ。

しかし、この苦痛を訴えても、妻や知人たちは、「あなたは昔から早口で滑舌が悪かったから、話が聞き取れないことなんてよくあったし。ぜんぜん変わってないから安心して」などと言う。喜んでいいやら、悲しんでいいやら。

みんな昔から、私が何を話しているかよく聞き取れなくても、適当に聞き流していたということではないか。まあ、こっちも聞き流されて困るような大したことは話していないんだけど。

不思議なことに、当初喉の右側のリンパ節に転移していた大きな腫瘍はかなり小さくなっている。一度大きくなったがん細胞が小さくなることってあるのだろうか。

その代わり、1年前にはなかった左側のリンパ節に腫瘍ができ、それがかなり大きくなってきている。こちらはまるで『こぶとりじいさん』の絵本で見たように、ゴルフボール大の大きさの瘤となっており、見た目にもかなり目立つ。

余談だが、私は「こぶとり爺さん」というのは、がん患者をモデルにした物語ではないかと考えている。それくらい、自分の喉から盛り上がっている腫瘍と、子どもの頃絵本で見お爺さんの瘤とが酷似しているのだ。

恐らく、こぶとり爺さんもがんだったのだ。で、人柄が良く、愉快に踊るお爺さんには自己免疫力が働き、「鬼」という病魔はがんを取り去ってしまったのだろう。

もう一方の意地が悪く、嫉み心が強く、陰々滅々としているいじわる爺さんは、自己免疫力が落ちて、がんの転移がどんどん進んで反対側の喉にも瘤が増えてしまった、という寓意であるに違いない。

さて、話を元に戻そう。

それほど大きくなった左側の腫瘍ではあるが、痛みはほとんどない。不思議なことに、何らかの治療をした場合(しかも感覚的に良く効くと感じる治療法を施した場合)のみ、痛む。痛んだ後は、腫瘍が少し小さくなる。だから、最近では腫瘍が痛むと「よし!痛んでいる!」と喜ぶようになっている。

事実、最初に目立つようになった喉の右側の腫瘍は、一時期かなりの痛みがあったが、その痛みの後ではサイズが小さくなってきて、現在ではあまり目立たないくらいになってきている。右側の腫瘍で起きたことが左側の腫瘍で起きないことがあろうか。

今では左側の大きな腫瘍(こぶとり爺さんの瘤)が早く痛み出さないかと、毎日楽しみにしている。

この痛む、痛まないというのは、私にとって結構大きな指標であり、新たな治療法を試した時に、この腫瘍部分がじーんと痛めば、一次試験突破ということにしているくらいである。

 

これぞ「がんダイエット」

頭はスキンヘッドにしている。妻と息子は時々「ハゲ」などと呼んでいるが、失礼極まりない。これは、あくまでスキンヘッドである。何が違うかって? もちろん言われた時の気分が違う。

初めて会った方は、私の頭を見た後で「ああ、がん治療の副作用か……」という表情を浮かべるのが常である。「がんばってくださいね」などと励ましてくださる方も多い。

幸か不幸か、これは単なるヘアスタイルであって、がんとは一切関係がない。何しろ、抗がん剤も放射線も一切使っていないのだから、副作用など起きる理由がないのである。

体重は現在、60キログラムをやや切っている。1年前が68キログラムだったから、8キロほど落ちている計算になる。

これは、玄米菜食、肉や砂糖の不摂取という食事療法を続けていることも大きいように感じるが、やはりがんによる体重減という側面も大きいのだろう。

まあなんにせよ、がんになれば肥満の恐怖とはもう無縁である。以前はあれほど気になっていた腹回りの贅肉やら二重あごなどが、がんを告知された瞬間から一切気にならなくなること請け合いだ。

私はこれを「がんダイエット法」と呼んでいる。巷で取りざたされているどのダイエット法よりも効果が高いと言って良いだろう。何も無理をする必要などない。継続の努力も一切不要。お金もかからない。

ダイエットに悩む方は、ぜひ一度、がんになってみることをお勧めする次第である。