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この夏、追加で売りに出される「日本郵政株」は買いか
プロたちの判断

潮目が変わった?

久々の超大型IPO(株式の新規公開)ということで、大いに盛り上がった2015年11月の日本郵政株の上場。だが、その後の株価の歩みは、投資家たちの期待通りには行かなかった。

初日に1775円の値がついた後、'15年末にかけて2000円に迫る勢いだったが、年明けから急落、日銀が導入したマイナス金利の影響もあり、'16年6月には1200円を割る場面も見られた。

現在は1400円台前後で推移しているが、財務省が今年7月に、追加で日本郵政株を売却すると発表している。

昨年は乱高下したものの、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、日本郵便という巨大な三社を傘下に持つ日本郵政の魅力は圧倒的な安定感だ。ずばり「買い」だろうか?

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SBI証券投資調査部シニアマーケットアナリストの藤本誠之氏が語る。

「正直なところ、日本郵政に大きな成長は期待できません。ですから値上がりを期待する人は買わないほうがいい。

しかし、会社が破綻する心配はないし、3%と配当利回りも高い。ですから値上がり重視の株式と考えず、配当利回りを得るために中長期で投資する債券だと考えるのならば、買ってもいい」

ゆうちょ銀行やかんぽ生命は大量の日本国債を保有している。従って、昨年マイナス金利になったときには大きなダメージがあった。しかし、潮目は変わり始めた。

「ここにきて金利に上昇傾向が見られるようになってきた。投資対象として少なくとも最悪期は脱したといえます」(経済評論家の森永卓郎氏)

伸びしろは大きい

日本個人投資家協会理事の木村喜由氏は、「日本郵政は、割安で買い」だと判断する。

「昨年12月末の時点で計算した一株当たりの純資産、資産価値は3370円。現在の株価の倍以上です。配当は3%以上で、PERは約19倍。マイナス金利でダメージを食らっていてもこれくらいの数字が出ているのです」

 

また、人手不足で悩んでいるヤマト運輸が宅配の運賃を値上げすることも追い風になるだろう。日本郵政グループは約13兆8000億円の純資産価値がある。しかし、これまでこの資産を活用して儲けることはできなかった。

「たとえば現在、日本郵便は全国の津々浦々同じ料金で郵便物を配送しています。これは民間では考えられないこと。来期中には手紙やハガキの郵便料金が値上げされますが、今後は地域別の料金設定になるでしょう。

全国市町村の気持ちとしても、そんなに僻地まで同料金・同サービスを期待していません。日本郵便がさらなる料金改定の動きを見せたら、日本郵政株にも買いが殺到するはずです。

財務省が株の売却を検討している夏場は、仕込むためのいいタイミングです。一昨年の高値の1999円は簡単に抜けるでしょう。そして2500円を目指す展開になると思います」(木村氏)

安定していながら伸びしろは大きい。こんなに魅力的な銘柄はなかなかお目にかかれない。

「週刊現代」2017年3月25日・4月1日合併号より