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トランプ「120兆円」公共投資で儲かる日本企業の名前

メチャクチャだけど「有言実行」だからいい

道も橋も鉄道も作り直す

「まさに歴史的な相場。トランプ選出後の米国株の上昇率は、世界恐慌からアメリカを立ち直らせるためにニューディール政策を行ったフランクリン・ルーズヴェルト大統領以来のものです。マーケットはまだまだ上値があると期待しています」

こう語るのは米投資銀行に勤める証券ディーラー。昨年11月頃は1万8000ドル前後を行ったり来たりしていたダウ平均株価は、今年に入って史上最高値を次々と更新。3月1日には2万1000ドルの大台を突破した。

トランプ大統領が次々と打ち出す経済政策は、規制緩和、大幅減税など、市場に大きなインパクトが期待できるものばかり。S&Sインベストメンツの岡村聡氏が語る。

「トランプの発言は一見、滅茶苦茶に見えますが、その政策は金融やエネルギー産業など米国の資本主義の中枢部にとって都合のいいことばかりという意味で筋が通っています。ホラに聞こえるようなことでも有言実行してきました。

施政方針演説では1兆ドルのインフラ投資も提言しています。共和党は財政拠出に関しては慎重なので、全額実現するかは不透明ですが、彼なら実現しかねない」

この規模のインフラ投資が行われれば、全米各地の道路や橋、鉄道などが大工事されることになるので、日本の建機メーカーのコマツなどはウハウハの状態が続く。

他にもたとえばニューヨークとワシントン間の高速鉄道が開発されれば、JR東海や三菱重工などの日本企業にも受注のチャンスがある。

「一昨年ニューヨーク、ワシントン間の電車に乗ったのですが、本当にひどい揺れ方で驚きました。案の定、その後、脱線事故を起こしていた。トランプ大統領自身、日本の高速鉄道を絶賛するリップサービスもしているので期待大」(岡村氏)

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次に目玉になる経済政策は大型の減税だ。企業が海外で得た資金を国内に戻すときにかかる税金を大幅に減らす「レパトリエーション」への期待は大きい。この政策は「ジョージ・W・ブッシュ政権の時にも行われた政策で実現性が高い」(岡村氏)

 

ソフトバンクがくる!

エネルギー分野では、環境面への配慮のためこれまで凍結されてきた石油パイプラインの開発再スタートが決まった。金融でもリーマンショック後、オバマ政権が金融機関の監視のために導入したドッド・フランク法を見直すと明言している。

エネルギー開発が活発になり、石油価格が安定すれば、自動車産業にとっては追い風だ。低燃費を売りにしている日本の自動車メーカーにとっては必ずしもメリットにはならないかもしれないが、素材や部品の分野で追い風が吹く可能性が高い。経済アナリストの田嶋智太郎氏が語る。

「たとえば第一化成。織物・編み物などの繊維素材の上にポリウレタン発泡皮膜を積層した合成皮革を開発しています。主力は家具と車両で、米国市場で大きく展開しています。RV車、航空機の内装、ホテルなどで使用される特注家具などでもよく使われる素材で、まさにトランプ経済の恩恵を受けやすい企業です。

他には高級工具鋼や磁性材料で世界トップクラスのシェアを誇る日立金属。主要受注先である自動車分野が盛り上がれば、面白いことになる」

金融分野での規制緩和は日本経済へどう影響するのか。

「アメリカの金融市場が活性化することは間違いないですが、そこで直接戦える日本企業は限られています。そういう意味では米国の名門投資銀行を傘下に置いている三菱UFJモルガン・スタンレー証券は伸びしろがある」(前出の証券ディーラー)

他にもトランプが明言している軍事力の増強は、かなり大きなインパクトを世界経済に与えることになるだろう。

「北朝鮮情勢も不安定化していますし、アメリカが今後、軍拡に走ることは既定路線。現在のアメリカ経済を引っ張っているのは金融やITなどの産業ですが、それらはいくら成長しても、国内の雇用はそれほど生み出しません。アップルがいくら儲かったところで、米国民が雇用される人数は初めから限界がある。

しかし、ロッキードやボーイングといった軍需産業はちがう。機密情報を扱うことにもなるので、海外生産は進まない。投資すれば投資した分、アメリカ経済が活性化されるのです」(前出の証券ディーラー)

米国の軍拡は中国を刺激し、東アジア情勢の緊張感は増す。結果、日本の軍事関連企業も潤すことになる。航空機向けレーダー部品などを作る東京計器、防衛省向けに飛行艇を作っている新明和工業などは、大統領選後に株価が急騰している。

トランプ政権の恩恵を受けようと、世界中の企業家たちが躍起になっている。選挙中は反トランプを標榜していたアマゾンのCEOジェフ・ベゾスでさえも、トランプの娘婿である実力者ジャレド・クシュナーの家のすぐそばに家を購入し、すり寄り始めた。

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そんななか、トランプ政権との近しさという意味で、恩恵をいちばん受けられそうな日本企業は、孫正義氏率いるソフトバンクだ。

「ソフトバンクは、昨年10兆円規模のファンドを立ち上げており、そのビジネスの実体はもはや完全な投資ファンドです。孫氏が手にしている資金はいまや大投資家ウォーレン・バフェットに匹敵する。トランプ氏との個人的なつながりを通じて、今後ますます大胆な施策に打って出るでしょう」(岡村氏)

まだまだ続くと見られるトランプ相場。この歴史的な上げ潮に乗らない手はない。

「週刊現代」2017年3月25日・4月1日合併号より