企業・経営

鴻海から来た新社長が吠える!「シャープにはガバナンスがなかった」

就任後初の記者会見 その中身
大西 康之 プロフィール

この半年で、2000件を決裁した

ここからは質疑応答のハイライトをご覧いただこう。

Q ホンハイ傘下になってからシャープ幹部社員の流出が続いている。危機感はないか。

戴社長 私の口からは少し言いにくいが、これまで報道に出てくるシャープの幹部は大西(徹夫・元副社長)さんをはじめ、白髪の人が多かった。シャープ従業員の平均年齢は50歳。これを45歳くらいに是正したいと思っている。

幹部社員は皆、本来は不正競争防止法に則って他社に機密を漏らさない誓約書を書いている。個人のキャリアは尊重するが職業道徳に反する行為は許されるべきではないので新しいルールを作ろうと思っている。

また、一度出ていった幹部のカムバックはなんの問題もない。能力のある人が戻ってきてくれたら嬉しい。ホンハイ流に言えば、幹部社員に給料はいらない。成果に応じたストックオプションとボーナスで存分に報いたい。

 

Q  半年間、シャープを観察し、業績不振の原因はどこにあったと分析するか。

戴社長 昨年の2月24日に発覚した3600億円の偶発債務問題が象徴的だが、ガバナンスが効いていなかった。中国で乱発したリベートなどが原因だが、きちんとガバナンスが効いていればあんなことは起きない。

太陽光パネル事業ではものすごく高い値段で材料の購入を決めていた。150億円の投資に専務のサイン一つで実行できた。喩えて言えば昔のシャープは社長が液晶パネルの工場を建て、副社長が太陽光パネルの向上を建てる。社長と副社長は仲が悪いから、(配電や排水処理など)ユーティリティーを共用しない。液晶パネルと太陽光パネルは工程が似ているから、多くのユーティリティーを共有できるにもかかわらずだ。

今のシャープでこういうことは起きない。300万円から社長の私が決済しているからだ。この半年で2000件の決済をした。業績が悪く、部門間の横展開がなかったため(部品、装置、材料メーカーなどの)ベンダーとの間で不平等な契約を結ばされているケースもあった。ホンハイの購買力を使えばもっと有利な契約に変えられる。

コスト意識も低かったと言わざるを得ない。この工場(堺工場)の中では社員がエスカレーターに乗っている。まるで、いま日本に来ているサウジアラビアの王様のようだ。

Q もう液晶テレビで稼げる時代ではない。これからシャープをどういう会社にしていくのか。

戴社長 IoTの会社に変える。先週、総務省に呼ばれ「第41回家電メーカー懇親会」という会議に出席した。ソニーやパナソニックの社長も呼ばれていた。そこで私はパナソニックの津賀(一弘社長)さんに「この名前は正しいのですか」と訪ねた。自分たちのことを「家電メーカー」と呼んでいるのはおかしいと思う。

家電は家に帰ってスイッチを入れないと動かないが、IoTは利用者がオフィスから動かせる。「もうすぐ故障するからパーツを替えましょう」という提案もできる。今、IoTの最先端は中国にある。だからシャープは深圳に研究・開発センターを設立した。富士康(フォックスコン=ホンハイの中国製造部門)の工場も目と鼻の先にある。

ITの使い方において、日本はすでに先進国とは言えない。2020年にはIoTで一番遅れた国になっているかもしれない。だから総務省も頭を痛めている。シャープはホンハイと力を合わせ、グローバルなIoT企業になる。

Q 戴社長は「液晶テレビ事業の復活」を掲げ、2018年に1000万台の販売目標を立てているが、それは実現できるか。

戴社長 達成可能だ。中国、アセアンで液晶テレビの販売はまだまだ伸びる。テリー(郭会長)は液晶パネルを「戦略部材」と考えている。液晶パネルはあらゆる分野で必要不可欠な部材だ。だからテリーは液晶パネルに個人で投資している。私は26年間、隣で仕事をしてきたから、テリーの考えがよくわかる。ここ(堺ディスプレイプロダクト=SDP)に個人で投資しているのは未来を確信しているからだ。

限られた時間での質疑応答だったが、リーダーシップもガバナンスもなくズルズル沈んでいたシャープは、ホンハイ傘下で活力を取り戻しつつあるように見えた。