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企業・経営
半ば茫然...この危機的状況で東芝が描いた「バラ色の未来」
WHを「非連結子会社」って、どうするの?

「遮断」

2月14日の決算発表を延期した東芝。自ら期日とした1カ月後の3月14日になっても、結局、決算発表はできなかった。第三四半期である2015年10~12月期の決算について、監査法人の承認が得られなかったためだ。再延期した決算は4月11日までに行うとしている。

確定できていない第三四半期決算は、米国の原子力子会社ウェスチング・ハウス(WH)の巨額損失の計上が焦点。2月14日に公表したWHがらみの減損7125億円については、そのままの見込みを変更しないとしている。あくまで東芝は2017年3月期の自社の見通しは営業損益で4100億円の赤字、最終損益は3900億円の損失で、株主資本は1500億円のマイナスになるとの見通しを再度示すにとどめた。

決算発表ができない、というお詫び会見の席上、「今後の東芝の姿について」という資料を配布、綱川智社長が説明した。そこには驚くべきことが書いてあった。

「海外原子力事業のリスク遮断 マジョリティ売却等による非連結化を含め再編検討を加速」

巨額の損失が見込まれているWHについて、そのリスクを遮断するために、WHを「非連結化」するというのである。WHは受注している米国内の原子力発電所4基が完成しないうえ、工事費が大幅に膨らんでいる。コスト負担を巡って係争相手だったS&Wを2015年末に買収した結果、WHが工事についてのコスト増分を丸抱えすることになった。

さらに、WHの損失は東芝が親会社として保証している。4基の原発が完成しなかった場合の損害賠償責任も東芝が負っている。そんな泥沼に東芝をはめたWHのリスクを「遮断」できるのであれば、東芝にとって喜ばしい話はない。

 

一体どうやって…?

東芝は非連結化、と簡単に言うが、ではどうやって「非連結化」するのか。

資料では、WHのマジョリティを売却することなどを考えているとしている。だが、そんな問題事業を引き取ってくれるところがあるのなら、こんな断末魔に追い込まれる前に売却していたに違いない。

買い手を見つけるには、損失の額を確定し、WHの企業価値から損失額を引いた額をはじき出す必要がある。7125億円というのが本当に最終的な損失額なのか、おそらく東芝の経営陣にも確信はない。完成していない原発のコストなのだから、いくら保守的に見積もったからといって、完成までにどんな費用負担が生じるか分からない。そうしたリスクを肩代わりしてくれる企業が現れるのかどうか。

仮に株式の過半を引き取ってくれる米国企業が現れたとしよう。だが、それだけで「非連結化」はできない。かつて日本の連結決算は株式保有を50%未満にすれば、自動的に連結決算から外すことができた。バブル崩壊期には、持ち合いなどを駆使して、問題のグループ企業を連結決算から外す例がしばしばみられた。

だが、現在のルールでは外形基準だけで「非連結化」はできない。実質的に親会社として責任を負わなくてよいことが明らかでなければ、連結から外すことはできないのだ。端的に言えば、傘下の会社が破たんした場合、親会社がその損失を被るような契約になっていれば、実施的に子会社とみなされ、連結決算の対象になるのだ。

つまり、本当の意味でリスクを遮断できなければ、非連結化はできない。どうも東芝の資料を見ていると、非連結化すればリスクを遮断できると考えているように見えるが、実際は逆なのである。