人口・少子高齢化
いつか必ず来る「おひとりさまの老後」、知っておきたい心構えと準備
仕切り直しは50代から
上野 千鶴子 プロフィール
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Q 老後という言葉を聞くだけで不安に。何から始めていいかもわからず、気になるけど、見て見ぬふりしています。

見ること、知ることで不安もなくなります

「見ないふりができるのは、結局まだ老後が他人事なのでしょう。私が調べたところ、もとからのおひとりさまは家族持ちよりもまさかのときの不安感が強く、自分なりのセキュリティネットワークを作っている人が多いよう。自分の健康が万全である、なんて保証はどこにもないのですから、当然のことです。

まだ現実味がないと思っても、家の近くのグループホームや介護施設などを見学してみると他人事ではなくなるかも。あるいは、そういった施設でボランティアをするのもいいかもしれません。現場では、いろんな老い方を目の当たりにすることになります。

私もたくさんの現場で、人はこうやって老いて、死んでいくのかということを山のように見てきました。でもそれは逆に私を強くし、おかげでほとんどのことは怖くなくなりました。知ることで、不安は解消します」

 

Q 先生は、介護生活になってもひとりで暮らすと言われていますが、それは本当に可能なのでしょうか?

今の行動力が、必ず力になります

「今は国も在宅介護を推奨しています。しかも、家族がいる人でも老後ひとりになるケースは多く、おひとりさまの在宅介護は今後どんどん増加していきます。

私は、今の住まいの徒歩圏にある、訪問医療の医師、訪問看護ステーション、訪問介護事業所の3点セットをすでに確保しています。私の「在宅ひとり死」プランのインフラは整備されつつあります。

先日は、私が住んでいるマンションの管理組合主催で居住者限定の「ひとりで家で死ねますか?」というシンポジウムを開催し、医療・看護・介護の3者の専門の方たちにお話をしていただいたところ、大好評でした。

高齢化の波は私の地域にも確実に押し寄せています。漠然と不安を抱えながら、ただ待っているだけではセキュリティネットワークは広がりません。老後を楽しく心地よく生きていきたいなら、まずは現状を把握し、知り合いや近所などに同じ仲間を作るなど、自分でどんどんアレンジをしていく。

それぐらいの気合や楽しさを持って、老後と向き合ってみるといいですよ」

* * *

おひとりさまはさみしい、と思っているあなたへ。おひとりさまは、必ず慣れます。そして、誰にも縛られない自由ほど快適なものはありません。

(取材・文/牧野容子 構成/伊藤まなび)

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おとなスタイル』2017年春号より