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政治政策
原発廃炉に70兆円必要!? 保守系調査機関が算出した驚くべき数字
政府試算のなんと3倍…これは大変だ

老舗シンクタンクの苦言

先週土曜日、東京電力・福島第一原子力発電所(1F)の事故から6年が経過した。政府は、復興の進展を印象付けたいのだろう。誇らしげに、来月にかけて帰宅困難地域の指定を一部解除する方針を打ち出した。

しかし、現実は厳しい。帰宅困難地域が完全に無くなるわけはないし、事故処理費用の国民負担問題が厳然と存在するからだ。

特に後者について、老舗の民間シンクタンク「日本経済研究センター(JCER)」が新たにまとめたレポート「エネルギー・環境選択の未来 福島原発事故の国民負担」は参考になる。

それによると、廃炉、汚染水処理、除染、賠償を併せた事故処理費用の総額は最大で70兆円と政府の見積もりの3倍以上に達する可能性があるというからだ。

加えて、このレポートは、今や電力が充足しているうえ、原子力が他のエネルギーに比べて割安でもないにもかかわらず、政府が原発の存続を目指すのならば、「東電の破たん処理など責任の明確化」や、原発存続の「必要性の立証」が不可欠だと連ねている。

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筆者もこれまで、政府の根拠なき楽観論に繰り返して警鐘を鳴らしてきた。

本連載の熱心な読者ならば、昨年暮れ、政府・経済産業省が福島第1原発事故の処理費用をそれまでのほぼ2倍の21.5兆円に膨らませたうえで、国民に負担を転嫁する方針を決めた際にも、筆者がコラム「『廃炉コスト21兆円』を国民に払わせようとする経産省の悪だくみ国民に謝罪するのが先じゃないですか?」を書いて、善後策を示したことを記憶しているはずだ。

あの事故から6年の節目を迎えた今、老舗シンクタンクが改めて苦言を呈したのは良い機会である。今度こそ、政府は姿勢を改めて、真摯に原子力発電の現実と原子力政策を見つめ直すべきである。

 

「処理費用」という深刻な問題

1F事故6周年の前日にあたる3月10日。政府は首相官邸で、復興推進会議と原子力災害対策本部の合同会議を開き、浪江町と富岡町に出していた避難指示の解除を決定した。

これを先取りして、NHKは定時ニュースで、帰宅困難地域が双葉町と大熊町の一部を残すだけになり、避難指示地域の面積が5年前(約1150㎢)のから3分の1に当たる369㎢に縮小すると政府の主張を繰り返し伝えた。

しかし、現実には、今なお12万の人々が避難生活を送っている。

廃炉作業が続く1Fの立地である双葉町と大熊町では、いつになったら避難指示を解除できるのかメドさえ立たない。

若い世代を中心に「例え避難指示が解除されても、帰還しないという人が増えている」とされ、1F周辺の再生・復興は事故当初の予想より遥かに困難な現実も浮かび上がってきた。

もうひとつ。深刻なのが、国民の負担が伴う1F事故の処理費用問題だ。