医療・健康・食
MBAを持つ医師が調査して分かった、日本の医療「本当の実力」
「がんの5年生存率」だけを見ても…

「医者を信用するな」「このクスリは飲むな」「健康診断を受けると寿命が縮む」……、そんな医療批判の雑誌記事や書籍が溢れるが、日本の医療の実力は世界的に見て、実際のところどれくらいなのか。

その疑問に内科医でMBAを持つ真野俊樹氏が答えたのが『日本の医療、くらべてみたら10勝5敗3分けで世界一』だ。本書によると、肺がんの術後5年生存率はアメリカに比べて1.6倍、ドイツの2倍、イギリスの3倍も日本のほうが長いという。その内容を一部紹介しよう。

プロ野球なら独走レベル

日本人ほど自国の医療に不信感を持っている国民はいません。

2010年にロイター通信が報じた「医療制度に関する満足度調査」によると、日本人の医療満足度は15パーセントで、これは世界の先進・新興22 ヵ国中、最下位です。ちなみにトップは、スウェーデンの満足度75パーセントでした。

日本人が不信感を募らせる日本の医療ですが、客観的データで諸外国と比較すると、なかなかどうして優れていることがわかります。それを具体的に検証するために筆者は、

➀医療レベル②医療の身近さ③薬への依存度④医療費⑤病院⑥高齢化対策

と医療を支える6つの柱について、それぞれに3項目の指標を定め、計18項目の指標について日本と海外との比較を試みることにしました。

比較対象国は、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの先進4ヵ国に、福祉が進んでいる北欧代表のスウェーデンを加えた計5ヵ国です。比較にあたっては、筆者の実施調査とOECD(経済協力開発機構)をはじめとする世界的な公的機関の調査データをなるべく用いています。

結論を先に言えば、計18項目の指標において、日本の医療は「10勝5敗3引き分け」でした。

勝率(引き分けは除く)にすれば6割6分7厘で、プロ野球なら、独走でリーグ優勝できる数字です。日本人の多くはその実感を持っていないと思いますが、日本の医療は世界的に見て優れている。これはまちがいありません。

日本の成績は際立っている

国ごとの医療レベルをどのような指標でとらえるかについては、当然さまざまな見方があると思います。そうしたなかで「がんの5年生存率」に注目したのは、がんが人類にとって非常に手ごわい病気であることに疑問をはさむ余地がないからです。

冒頭で触れられているように、日本は肺がんの術後5年生存率が世界一ですが、まずこのデータについて見てみることにします。

 

世界67ヵ国、2500万人以上のがん患者の術後5年生存率を調査した国際共同研究「CONCORD-2」(1995~2009年)によると、日本は肺がんの術後5年生存率が30・1パーセントでトップでした。主要国ではアメリカが18・7パーセント、ドイツが16・2パーセント、フランスが13・6パーセント、イギリスは9・6パーセントですから、日本の成績はかなり際立っています。

この調査を見ると、肝がんも日本の成績は良好です。肝がんは肺がんと同様、ほかのがんに比べて相対的に術後5年生存率の数字が低いのですが、日本は27・0パーセント。アメリカは15・2パーセントであり、欧州各国も20パーセントに達していません。いっぽう、胃がんは韓国がトップの57・9パーセントで、日本は54・0パーセント。ちなみに欧米は、30パーセント以下と軒並み低くなっています。