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中国政府は不動産バブルを延命させようとしているのか?

全人代で見えた今後の経済政策

3月5日から、中国の国会に相当する第12期全国人民代表大会(全人代)の第5回会議が開幕した。

開幕にあたり、李克強首相は2017年の実質GDP(国内総生産)成長率の目標水準を、昨年の6.5~7%から引き下げ、6.5.%前後にすると表明した。

金融政策は穏健から“穏健中立”に修正し、財政政策を用いた経済安定が目指される。また従来通り、鉄鋼や石炭の過剰生産能力の削減などの構造改革も進められる。

今回の全人代で顕著な点は、複数の共産党幹部が習近平国家主席への忠誠を示したことだ。昨年12月、第18期中央委員会の第6回全体会議(6中全会)は、習近平を“核心”と位置付けた。今秋には中国の最高意思決定機関である共産党の党大会が開かれ、指導部の人事が固まる。

習近平は長期政権運営のために自らに近い人物を要職に置き、支配基盤を固めようとするだろう。当面、中国経済は政治に影響されやすい状況が続くはずだ。

支配基盤の強化を進める習近平

全人代を控える中、これまでも複数の共産党幹部が習近平への“忠誠”を誓ってきた。

特に象徴的だったのは、2月に江沢民に近いといわれてきた天津市トップの李鴻忠氏が習氏礼賛の演説を行ったことだ。全人代でも不仲が取りざたされてきた李克強首相は、習氏が核心であることに触れ、その指導の下で改革を進めると述べている。

こうした発言には様々な見方がある。はっきりしていることは、習近平が求心力を強めようとしていることだ。

核心に位置付けられた習近平は腐敗の撲滅を進めている。これは、実際の汚職だけでなく、習体制に疑問を呈する者をも排除し、支配基盤を強化することに他ならない。

全人代でも公的機関の汚職をなくすために、法的に国家の監察力を認める必要があるとの考えが示された。習近平を中心とした独裁体制は徐々に強まるはずだ。

 

全人代では、領土、領空、領海のコントロールを強化することが示された。そして、2017年度の国防予算は前年から7%増加し、約1.4兆元(17兆2000億円程度)と、初めて1兆元の大台を突破した。

これまで以上に、中国が南シナ海の権益開発などを進める可能性は高まっている。そこには軍事的な強さを内外に示し、民衆からの支持を集め、国威発揚を進めようとする習近平の思惑が潜んでいると考えられる。

そして、秋に開催される共産党の党大会では、中国の政治意思決定を行う最高人事が決定される。今回の党大会では、習近平、李克強以外の5名が定年によって入れ替わる。

その中で注目されるのが、習近平の盟友として腐敗撲滅を進めてきた王岐山・党中央規律検査委員会書記の去就だ。王氏の定年が延長され、習近平の長期政権の基盤形成が進むとの見方は多い。

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