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社会保障・雇用・労働

「フリーランス」という選択肢をつぶさないために国がすべきこと

現状の課題と今後の対策

世耕弘成経済産業相の肝入りではじまった働き方改革会議の1つ、「雇用関係によらない働き方」会議が終わり、報告書が出された。

労働者派遣法と同じように企業から都合のいい人材活用につながるのではと一部から懸念や批判もあったが、そもそもこれまでは労働者といえば雇用されている人としてフリーランスなどの働き手がほとんど政策に組み込まれてこなかった。

そのことを鑑みれば、選択肢を増やしていくための議論は必要だったといえよう。同検討会に委員として参加してきた身として、現状のフリーランスの問題点と、それに対してどんな方策が考えられるのか、今後の課題を整理したい。

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立ちはだかる3つの障壁

今回経産省が雇用関係によらない働き方をしている4000人を対象に実施した調査によると、実際に雇用関係がない働き方をしている人が感じている最大のメリットは「自分のやりたい仕事が自由に選択できる」(柔軟な働き方に満足している人の理由の1位、55%)だ。

しかし、現状ではデメリットも大きい。個人が会社員からフリーランスに移行しようとしたときに壁となっているのは、①収入が得づらい、②社会保障などセーフティネットが手薄である、③生産性が低くなりがちであるの3つだと思う。それぞれ、どんな課題があり、検討会ではどのような議論があったのかを紹介したい。

 

【① 収入が得づらい】

安定的に収入が入らないことはおそらく承知済みでフリーランスになる人は多いだろう。しかし、不安定であること以上に、そもそも適正な価格を払ってもらいにくいという問題がある。

「薄謝」と言って価格が示されないこともあれば、交渉力を持たないので買いたたかれやすい、契約があいまいで手戻りなどの作業が出てきたときに搾取されてしまうなどの問題が起こる。もちろん企業対企業でも起こっていることではあるが、相手の言い値で仕事を受けざるをえないことも多い。

どんな仕事に対して、どんな対価を払うのかについて企業側の発注能力を上げていく必要もあるし、働き手側としては一社に依存しないように複数社と取引をすること、成長機会を確保して価格を上げていくことなどの工夫が必要になる。

米国ではアプリを使った配車サービスのウーバー・テクノロジーズで運転手が集団訴訟をするなどの事例が出てきているが、1社への従属性が高く、スキルがコモディティ化している領域については今の実態に合っていない「下請法」「家内労働法」を見直したうえで適応することも必要になるだろう。