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流行りの「グルテンフリーダイエット」本当にヤセるのか?

小麦をやめたとき、体に起きること
週刊現代 プロフィール

一方、グルテンフリーダイエットに慎重な意見もある。内科医の奥田昌子氏は言う。

「元々はグルテンにより小腸損傷が起こるセリアック病という病気の患者のための治療法で、ダイエットなどを目的に健常者が行った場合の健康効果については、最終的な結論が出ていません。にもかかわらず、過大評価されている、という印象ですね。

グルテンフリーダイエットは流行の糖質制限の変形バージョンのようなものです。炭水化物を全て摂らないのではなく、小麦だけやめて白米は食べてもいい、というお手軽感で広まったのではないでしょうか。

ただ、小麦を避けると必然的に小麦に含まれる成分が摂れなくなります。穀物全般は非常に食物繊維が豊富。食物繊維には腸内の善玉菌を増やす効果がありますので、不足すると、むしろ腸内環境に悪影響を及ぼす可能性もあります。

日本人は食物繊維を昔に比べて摂らなくなったと問題視されており、グルテンフリーによって、さらに摂取量が減ってしまうことが懸念されています」

また、小麦などの麦類は、パンやパスタ、ピザやうどんといった主食のほか、ケーキやクッキーなどの菓子類、お好み焼き、中華まん、餃子などのほか、麦茶や醤油、ビールなどの原料としても多岐にわたり使用されている。そもそも完全に除去することなどできるのだろうか。

 

まずは2週間やってみる

同僚がグルテンフリーダイエットを実践しているという男性がこぼす。

「居酒屋に行くと、天ぷらの衣を剥がすし、醤油を控えているので刺し身は箸をつけない。店員に小麦が入っているか訊くので落ち着きませんよ。気心知れた奴だから我慢できるけど、接待の席であれをやられると困りますね」

前出のフォーブス氏は言う。

「実際のところ、完全に小麦を抜くということは難しいと思います。食品だけでなく調味料などにも含まれていますから。また、グルテンを分解できる体質の方もいるので、グルテンフリーダイエットが当てはまらない可能性もあります。

そこでまず2週間、意識して小麦を抜いてみることをお勧めします。その際に体調に変化があるようなら、グルテン不耐症の恐れがあります。

その場合は和食中心の生活にするなど、自分のできる範囲で、一食一食のメニューをできるだけ小麦が入らないよう工夫してみましょう。人によっては醤油や味噌などの発酵食品や、天ぷらの衣くらいなら体調に影響しなかったという例もあります」

時には周囲の怪訝な目に耐え、強い中毒性から逃れつつ実践するグルテンフリーダイエット。冒頭で登場した守谷さんは苦笑する。

「辛いことといえば、近所の喫茶店の美味いナポリタンが食べられなくなったことでしょうか(笑)。あれを食べると体調が悪くなるんだろうな、と思う寂しさはあります。

出張のとき、モチベーションを上げるために新幹線で食べていたカツサンドも心惹かれるときがあります。結局食べると、体調を崩してしまうので意味がないのですが……。

自分の欲望を優先順位の1位にするのか、健康を1位にするのかの選択かもしれません」

飲んだ後の〆のラーメン。3時のおやつの菓子パン。当たり前に送っていた「小麦生活」から少し離れてみると、激的な変化があるかもしれない。

「週刊現代」2017年3月18日号より