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残念な「南スーダン撤収」によって、日本が失ってしまうもの
「平和構築」の専門家はこう見る
篠田 英朗 プロフィール

停滞する日本の国際貢献

今のところ南スーダンの次にどの国連PKOに部隊派遣を行えるか、目処は立っていない。

どこか南スーダンよりも安全な良いPKO展開地はないのか、と言えば、基本的にはないだろう。縮小段階に入っていたり、監視業務しかなかったりする小規模ミッションもあるが、あえてそういったミッションに割り込むという姿勢でいいのか、疑問は残る。

一部報道ではキプロスにおけるPKO(UNFICYP)への自衛隊派遣が検討されているという。1964年以来続く、わずか千人程度の要員の小規模ミッションだ。

増員ニーズはないので、日本が自衛隊を派遣したいのであれば、UNFICYPに展開している他国の部隊を押し出さなければならない。うまくローテーションの巡りあわせが合う場合もあるだろうが、そもそも果たして小規模ミッションに入ることが日本にとって妥当なのかどうか。

これまで自衛隊は施設部隊に特化し、他国の歩兵部隊の防御も受ける仕組みを作ってきた。小規模ミッションに派遣されれば、そのような形を望みにくくなる。情勢変化に伴って撤収する際の意味も、計り知れなく大きくなる。キプロスならアフリカより楽だ、という単純な話だけではない。

それでも、南スーダンから撤収した後に、どこかに派遣をしないといけないという問題意識はあるのだろう。

全世界の国連PKOへの要員提供数で、日本は54位であり、国の規模からすると物足りない印象は否めない。

国連PKOのもう一つの柱と言ってもよい警察部門への派遣を見てみよう。1992~93年のカンボジアへの派遣以降、実質的に日本からの貢献者数はゼロである。

国連警察の重要性は、治安部門改革(SSR)や法の支配関連業務の拡大によって、過去20年足らずの間に飛躍的に高まった。にもかかわらず、日本はその動きに、全くかかわっていない。

政府派遣ではない国連文民職員はどうだろうか。

日本人の国連職員は全般的に少ないのだが、PKOミッションにおける邦人職員は、特に少ない。全世界で5千人以上いる文民PKO要員の中に、日本人はほんの30名足らずのようだ。

それでは資金面はどうだろうか。

日本の国連PKO費用分担金は、米国、中国に次ぐ3位ではあるが、ピーク時の半分以下となる全体の1割を切る金額でしかない。確かに193ヵ国の加盟国がいる国連において日本が1割近くの財政負担をしているという事実は、軽んじるべきではないだろう。

だがほんの15年余り前、日本の国連への分担金は全体の2割を占めていた。それがわずかの期間の間に半減した。劇的な落ち込み方である。

ちなみに日本のODA(政府開発援助)額は世界4位か5位の水準だが、米国、ドイツ、イギリスに大きく水をあけられており、ほんの15年ほど前には世界一だったことを考えると、やはり劇的な落ち込みを見せている。