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ついに米中戦争が始まる!? 「金正男暗殺捜査」が思わぬ展開に…

近藤大介のコリア・ディープスロート

100年前サラエボでオーストリア皇太子が暗殺されたことから第一次世界大戦が勃発した。いままた北朝鮮の「皇太子」がマレーシアで暗殺されたことから米中が激突するのか。迫真レポート第3弾。

CIAが捜査を指揮

原子力空母カールビンソン、F35ステルス戦闘機、F22ステルス戦闘機、B1戦略爆撃機、B52長距離核爆撃機……。

3月1日から、韓国軍30万人、アメリカ軍1万7000人が参加し、丸2ヵ月にわたる史上最大規模の米韓合同軍事演習が、韓国で始まった。

同日、アメリカのマティス国防長官と韓国の韓民求国防長官が電話会談し、「敵のいかなる攻撃も撃退し、核兵器に対しても圧倒的な対応で制圧する」と確認し合った。朝鮮半島は、いまや準戦時体制に突入したのだ。

この電話会談では、もう一つ、確認し合った。それは、THAAD(終末高高度防衛ミサイル)の韓国への早期配備である。

前日の2月28日には韓国国防部が、慶尚北道星州郡のロッテグループが保有するゴルフ場にTHAADを配置するため、土地使用の契約を交わしたと発表した。

こうした米韓の動きに対して、北朝鮮も対抗の構えを見せている。

3月1日に朝鮮中央通信は、金正恩委員長が、朝鮮人民軍第966部隊の連合部隊指揮部を視察したと伝えた。金委員長は、作戦指揮室で大連合部隊長から、防衛作戦計画の報告を受け、軍事研究室や射撃館などを視察し、訓練の実態と戦闘動員準備の状態を点検したという。

こうした朝鮮半島での緊迫した状況が、4600kmも離れたマレーシアで2月13日に起こった「金正男暗殺事件」に影響を与えている――。

 

中国の外交関係者が語る。

「強硬なトランプ大統領は、軍事力の10%増強をブチ上げ、2月28日の施政方針演説でも、ヨーロッパ、中東、アジア太平洋地域への軍事力重視を強調した。米韓合同軍事演習もTHAADの韓国配備も、北朝鮮の脅威はカムフラージュで、真の目的は中国包囲網の構築なのだ。

同様に、マレーシアでも、今回の金正男暗殺事件を利用して、南シナ海で中国包囲網を敷こうとしている」

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金正男事件と、南シナ海の問題とが、どう関係するというのか。中国の外交関係者が続ける。

「普段マレーシア人から無能呼ばわりされているマレーシア警察なのに、金正男暗殺事件での捜査の機敏さは、際立っている。これは捜査対象から現場まで、すべてをアメリカCIAがバックでお膳立てしているからだ。

なぜアメリカがそこまでマレーシアに肩入れするかと言えば、南シナ海の領有権を巡って中国と争議がある国だからだ。それにもかかわらず、このところのナジブ政権が中国と蜜月を築いているのが、アメリカとしては我慢ならなかった。

そこに金正男暗殺事件が起こったために、アメリカは千載一遇のチャンスとばかりに、世界が注視するこの事件でマレーシアに花を持たせることで、親中国から親米国に変えて、再び中国と対立させようとしているのだ」

習近平の策略

たしかにアメリカは、ベトナム戦争中の1967年、中国などの社会主義圏の南下を防ぐ目的で、ASEAN(東南アジア諸国連合)を作った。マレーシアは設立当初の中核メンバーとして、アメリカ陣営の橋頭堡の役割を果たしてきた。

ところが今世紀に入って中国が台頭したことで、東南アジアの多くの国が、軍事的にはアメリカに依存しながらも、経済的には中国に依存するようになった。

特に、人口の25%が中国語を使って生活する華人であるマレーシアは、その典型だった。'14年の中国との貿易額は、東南アジアで初めて1000億ドルを突破した。