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東日本大震災 メディア・マスコミ
地震、洪水、噴火…日本人は天災とどう向き合ってきたか
民俗学から見た「弱者救済」の歴史

関連死が上回った「熊本地震」の犠牲者

昨年の4月14日に発生した熊本地震で被災し、5月に死亡した熊本県合志市の70代の男性が、今月初めになって新たに「災害関連死」と認定され、一連の地震で亡くなった人は熊本県と大分県で合わせて205人となった。

合志市は、熊本地震の被災者の遺族から「災害弔慰金」の申請を受け、避難生活での体調悪化などで亡くなった「災害関連死」に当たるかどうかを審査委員会で調べていた。

熊本地震による205人の死亡者のうち、災害関連死は150人にのぼり、直接死50人の3倍となった(昨年6月の豪雨による土砂災害で亡くなった5人も犠牲者に含まれる)。

災害関連死の9割超が60歳以上で、高齢者が自宅や病院で被災して持病を悪化させたり、心身の疲労で衰弱した例が多い。地震の被害や、その後の生活を苦にして自殺した人も4人いる。

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災害関連死は、1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災以降、繰り返し報道されるようになった。

阪神・淡路大震災における兵庫県の死亡者総数6402人のうち、災害関連死は919人で、約14%だった。神戸市などが計17人の自殺者を関連死と認定したが、政府は災害死とは認めず、公表した死者数に含めていない。

東日本大震災では、2016年(平成28年)9月30日までに、3523人の関連死が報告された。死亡原因は、避難所等における生活の肉体・精神的疲労、避難所等への移動中の肉体・精神的疲労、「病院の機能停止による初期治療の遅れなどが7割以上を占め、自殺者は23人だった。

 

こうした事例は、近年になって数値化されるようになっただけで、同様の事態は、歴史上の災害でも起こっていただろう。

そこで、2月に上梓した『天災と日本人――地震・洪水・噴火の民俗学』でも紹介した2つの災害事例を掘り下げ、近世の日本社会が、弱者をどのように救済しようと努めてきたかを見ていくことにしたい。