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経済・財政
おかしな「NYダウ最高値」アメリカのバブルに警戒せよ
当面は上昇基調だが…

過熱、過熱、過熱

3月1日、ニューヨークダウ工業株30種インデックス(NYダウ)が史上初めて21,000ドルを上回った。

2月9日から27日までNYダウは12営業日続けて上昇し、ハイテク関連銘柄の多いナスダック、主要大企業の株価動向を示すS&P500指数もそろって過去最高値を更新した。中小型株は大型株以上に上昇し、総じて米国株式市場の過熱感は高まっている。

2009年3月、NYダウはリーマンショック後の最安値水準である6,500ドル台をつけた。そこから株価は3倍以上上昇している。

徐々に、株価の割高感も出始めているが強気な投資家は多い。株価の水準を表す株価収益率=PERなどを見る限り、米国株式市場ではバブルが発生していると見るべきだろう。

ノーベル経済学賞受賞者である、イェール大学のロバート・シラー教授などは、以前から米国市場の株高に警鐘を鳴らしている。

現時点で米国経済は良好であり、当面は株価が上昇基調で推移する可能性はある。しかし、それが永久に続くことはない。今後の株価動向は慎重に見ていくべきだ。

コモディティー・バブル

歴史的に、低金利環境(カネ余り)と先行き期待を高めるテーマに支えられて数年間のうちに資産価格が数倍上昇すると、それはバブルであることが多い。

 

1980年代後半、わが国での資産バブル(株と不動産価格の高騰)はその代表例だ。リーマンショック後の世界経済では、中国の財政出動が資源需要を支えるとの期待から多くのコモディティー(商品)価格が上昇し、バブルが膨らんだと考えられる。

リーマンショック後、中国は4兆元(当時の邦貨換算額で60兆円程度)の景気刺激策を打ち出し、インフラ投資などを進めた。中国では鉄鋼や石炭などの精錬施設が、次々に建設され、この動きが世界的なコモディティー価格の上昇につながった。2009年から11年までに銅価格が3倍も上昇するなど、商品市況はバブルの様相を呈した。

この熱気の中で米国ではシェールガス開発が進み、NYダウも徐々に強気相場に入った。

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問題は、中国の景気刺激策が一巡するにつれ、過剰な生産能力の問題が出現したことだ。需要の低迷から中国の経済成長率は徐々に低下し、資源需要も低迷した。

2014年半ばにはサウジアラビアが価格維持よりもシェアを重視したことが嫌気され、原油価格が急落した。これは、コモディティー・バブルの終焉を象徴する動きだったといえる。この段階で米国は緩やかな景気回復を続けていたため、大きな相場の調整は回避された。

2015年以降、バブル崩壊の影響が出始めたように思える。

中国の過剰な生産能力の問題から世界的に需要は低迷し、世界経済を支えてきた米国経済はドル高の影響に耐えられなくなり始めた。同年夏、経済の先行き不安から中国株が急落した。

2016年初には人民元の急落に加え、欧州の金融機関の経営不安も浮上した。そこに英国のEU離脱が加わり、世界経済の先行き懸念は高まった。米国株式市場は頭打ちの展開になり、相場調整を警戒する投資家は増えた。