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ゴーン社長「退任」は自動車業界"大再編"の号砲だ【内幕レポート】

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井上 久男 プロフィール

自動運転で出遅れた日本勢

来たるべきAI・自動運転時代には、そのカギとなる技術を握った者が業界の覇者となる。

自動車業界の経営者たちはそれを痛感しているからこそ、規模を大きくして開発力を高めたり、部品メーカーを支配して技術力を確保したりと必死になっているわけだ。

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では、その技術覇権を握るのは誰になるのかといえば、残念ながら、自動運転時代に核となる「4つの技術」について、日本勢はすでに海外勢の後手に回っている。

たとえば、1つ目の核となる、運転手の目の代わりとなる映像処理技術。この分野ではイスラエルに本社があるモービルアイ社が圧倒的。昨年、日産がミニバンのセレナで高速道路での一部自動運転を可能にする技術を搭載し、これが大衆車での世界初の自動運転と報じられたが、実はその技術の肝はモービルアイのものを採用していた。

2つ目のAIの技術にしても、米国が抜きん出ていて、「シリコンバレーなどにいる数十人のエンジニアが世界を支配している」とまで言われる。

そのAIを機能させるためには高性能なCPU(中央演算処理装置)が重要で、これが3つ目の核となる技術。これも米国のエヌビディアやインテルの独壇場で、'21年までに完全自動運転の市販を目論むBMWも昨年夏にインテルと提携した。

4つ目の技術の3次元地図では、独ヒアとグーグルが先行。デジタル地図情報会社のヒアは欧米のカーナビ市場で80%近いシェアを持つが、実はアウディ、BMW、ダイムラーの独勢3社がこのヒアを共同買収しており、自動運転で覇権を握ろうとするドイツの国家戦略も見え隠れしている。

自動運転などは、これまでの経験知が通じにくい世界。過去の成功体験は通用せず、新規参入組があっという間に市場を奪ってしまう。そんな厳しい時代に、どれだけの日本メーカーが生き残っていられるだろうか。

「週刊現代」2017年3月11日号より

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