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企業・経営

アスクルはどうなる?「倉庫大火災」が露わにした物流リスク

被害総額は500億円を超える

PCやスマホで簡単に買い物ができるネット通販。注文から配送まで複雑な配送網で結ばれているが、倉庫という拠点が死ぬと、すべての流れが止まる。急成長を続ける通販企業を襲った悪夢。

100回爆発した

将来の収穫を見越して蒔いた種が、ようやく芽吹いたところで根こそぎ摘み取られた――。

今回の倉庫大火災で、オフィス用品の通販最大手、アスクルが危機的な状況に直面している。事実、同社は被害の全貌を把握しきれておらず、3月16日に予定していた'17年5月期第3四半期決算の発表を延期した。

事の起こりは、2月16日のことだった。

同社が約202億円もかけて購入・整備した一大物流拠点、「アスクルロジパーク首都圏」(埼玉県入間郡三芳町)の1階部分、使用済み段ボール置き場で火災が発生。延べ床面積約7万平方メートルのうち、実に約4万5000平方メートルが焼け落ちた。全焼である。

まだ鎮火のメドが立っていなかった2月20日、本誌記者が現場に赴いた。関越自動車道所沢インターチェンジから車で10分程度走ると、巨大な倉庫が見えてくる。500m付近にまで近づくと、空気が煙たく、火事の匂いが漂い始めた。

すぐ近くに広大な駐車場を備えたセブンイレブンがあり、車を停めて外に出るとプラスチックが焦げたような匂いがあたりに立ち込めている。明らかに健康を害しそうな、異様な匂い。慌てて、セブンイレブンでマスクを購入した。マスクなしでは5分といられない。倉庫から200m離れた場所に住む老婦人の話。

「日曜日(2月19日)の未明に大きな爆発音がしましたよ。道路に出て見に行ったら炎が見えた。煙がひどく、ずっとマスクをしているよ」

この女性宅の裏から倉庫の近くまで行けるとのことなので、その足で向かった。幅が約240mある倉庫の中央部分に空洞があり、そこに放水車が水を注ぎ続けるが、火が収まる気配はまったくない。大量の煙が吹き出していて、燃焼を抑えられていない様子だ。

消火活動を見物していた50代男性が言う。

「火災が発生してから時折こうして見に来ているけど、全然鎮火する気配がないよね。いまは2階と3階の1ヵ所ずつ放水しているけど、まったく火が消えないどころか、それ以外の箇所ではむしろ煙が濃くなっている」

倉庫の至近距離には数多くの犬を飼う家があった。ここに住む60代男性は、避難勧告を無視して住み続けているという。

「3世帯7人に避難勧告が出ていただろう?そのうちの一人が俺だ。俺は独り身だし、犬のブリーダーをやっていて20~30匹の犬がいるから、放っておくことができない。(アスクルが避難先として用意したホテルには)連れていけないからね。

日曜日(19日)には爆発が100回くらい起こったよ。深夜1時15分から40分までで40回、そこから2時までに50回、2時から9回。2時半になっておまわりさんから避難命令を受けたんだ。煙は本当にひどかった。ダンプカーくらいの大きさの渦の煙が飛んできて、おかげで外に置いていたものは(煤で)全部黒く汚れた」

内部が激しく燃えていても建物が崩壊する様子はない。周囲に飛び火するような建物もなく、ただ倉庫内の物がすべて焼き尽くされるのを待つのみという印象だ。

倉庫内ではいったい何が爆発していたのか。アスクルの広報担当者が、

「(物流センターに)置いていたのは文具だけではありません。法人向け(通販)サービスに加えて、個人向けのサービスも行っていて、トイレットペーパーなどの生活用品も売り上げの上位を占めております」

と言うように、生活用品、なかでも大量に保管していたスプレー缶に引火したものと見られる。