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原発利権に斬りこめ! 知られざる「国税局内偵班」の戦い
「最後の砦」はあきらめが悪い

確定申告シーズンに話題沸騰の書『国税局査察部24時』を執筆した、元国税査察官の上田二郎氏。過去の著作『国税局直轄 トクチョウの事件簿』(ダイヤモンド社)を題材にしたサスペンスドラマ『トクチョウの女~国税局特別調査部』が3月4日15時5分より放送される(フジテレビ系)。

「トクチョウ」とはいったい何なのか。上田氏がこっそり明かした――。

 

トクチョウ、その特徴

トクチョウ班――税務署の案内板にも職員名簿にも、それについての記載はない。調査部門の一つあるいは調査部門の中に、班として存在する税務署のシークレット部隊だ。

彼らのテリトリーはずばり、タブロイド判の夕刊紙が紹介するピンクゾーン。繁華街で流行っている店をいち早く見つけ、潜入調査などで脱税の証拠を集めたうえで踏み込んでいく。

ターゲットは、申告納税制度に背を向けた脱税者。繁華街の風俗店や裏商売では特に、短期間で信じられないほど高い利益を上げながら、確定申告をしていない不届き者もいるが、店の回転(開業から廃業までの期間をいう)が早く、税務調査が追いつかない。

繁華街を掌握し、大口の申告漏れがありそうな店を継続的に監視するのが彼らの任務。そのため、別名「ピンク担当」と呼ばれている

マルサ(査察部)やリョウチョウ(資料調査課)の経験者の中から選ばれた統括官が調査の指揮を執り、税務署内から選抜された優秀な調査官を配置して調査にあたらせる。

若い調査官にとっては、トクチョウ班で調査技法を磨いた後に、マルサやリョウチョウに配属される登竜門にもなっている。そして彼らは、マルサやリョウチョウで更に経験を積み、統括官となってトクチョウ班を率いるために再び税務署へ戻るのである。

トクチョウ部門の編成は、統括官1名と調査官4~6名。調査は上席調査官と調査官がペアとなって進めるのだが、風俗店をターゲットにすることも多く、女性調査官の配属は極めて少ない。

しかし、エステやネイルサロン、ホストクラブなど女性にしかできない潜入調査もあって、女性調査官が大きな力を発揮することも多い。

『トクチョウの女』(第一話)に登場するターゲットは、美術商だ。デパートが主催する特別展示会を通じて現代アートを販売している美術商の売り上げは、基本的には振り込み入金されるため、ガラス張りで正しく税務申告されているように見えた。実際、過去の調査は「申告額は正しかった」と結論づけて終了していた。

ところが調査を進めていくうちに、一定期間、現代アートを購入していた上顧客が突如取引を止めるケースが散見された。その理由を尋ねに行くと(反面調査)、「単に飽きただけ」と納得できない答えが返ってきた。

さらに調査を進めると、デパートを介さずに顧客と直接取引をする「簿外取引」の疑いが強くなっていくのだが、肝心の絵画を販売するための展示場が見つからない。調査が徐々に核心に迫ると、美術商が政財界を通じて調査妨害の圧力をかけ、ついに税務署長から調査中止が指示される――。

脱税を煽る内容や、元国税調査官を名乗りながら調査経験に乏しい者が書いた書籍が巷に氾濫し、それを鵜呑みにして手痛い目に遭う事業者も沢山いる。

脱税は、7年前まで遡って調査されていることをご存じだろうか。悪さをした申告書を提出した瞬間から、トクチョウやリョウチョウ、そしてマルサの影におびえて暮らさなければならないということなのだ。

確定申告書の提出前に、自分の申告をもう一度見直す絶好の機会ともなるだろうから、是非ご覧いただきたいドラマだ。

(なおドラマでは、トクチョウ部門の統括官としてマルサから税務署に戻った国広統括官を高田純次が、また彼を慕い一緒にトクチョウ班に戻った財前円香上席を名取裕子が熱演している)