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経済・財政 韓国
サムスン財閥トップの逮捕が世界情勢に与える影響

今、韓国の政治、経済の先行き不透明感が高まっている。

朝鮮戦争の休戦以来、韓国は財閥企業の事業拡大を重視し、優先的に許認可を与えた。政府の支援を受けた財閥企業は輸出を伸ばし、今日の経済基盤が整備された。こうして韓国経済は財閥企業に支配されてきた。

その基礎を作ったのが、知人を国政に介入させたスキャンダルが発覚し、職務停止に追い込まれたパク・クネ大統領の父親、故パク・チョンヒ元大統領だった。

そして、2月17日、サムスン財閥の事実上のトップであるイ・ジェヨン、サムスン電子副会長が、大統領の知人であるチェ・スンシル被告への贈賄容疑などで逮捕された。サムスンは大統領の知人に資金を提供し、その見返りに優遇措置を求めていたとみられる。

その全貌が明らかになれば、韓国の政治、財閥経営への批判は高まるだろう。それは朝鮮半島情勢を巡る緊張感を高め、国際社会の安定にも無視できない影響を及ぼす可能性がある。

政治のリーダー、経済を牛耳る最大財閥トップ不在の中、韓国社会の動向は要注意だ。

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財閥企業と韓国経済

韓国経済は財閥企業の経営動向に大きく依存している。韓国には50万程度の企業があるといわれているが、その純利益の約4割を10大財閥が占めている。その結果、財閥企業の業績が上向くときは景気が好調なものの、ウォン高や外需の低迷を受けて財閥企業の業績が低迷すると、景気も連れだって悪化する展開が繰り返されてきた。

また、大企業による寡占が続いた結果、十分に内需が拡大してこなかった。

特に、中小企業の育成は遅れ、景気が回復しても雇用は伸びづらい。そのため、財閥の業績が拡大し経済成長が進んでも、社会全体に成長の恩恵が浸透しづらい構造が出来上がってきた。

本来であれば政府が所得の再分配制度を整備し、経済格差を是正していくべきだったが、財閥優遇が続いてきた。

そして、財閥の創業者一族は歴代の大統領にすり寄り、有利な経営条件を獲得しようとした。その見返りとして、韓国の大統領経験者、その親族が財閥企業から不正に資金を受領するスキャンダルが続いてきた。

昨年10月にはパク大統領の友人、チェ・スンシル被告が国政に介入し、企業から不正に資金供与を受けてきたスキャンダルが発覚した。パク大統領は、国家の最高権力者の立場から知人の運営する財団などへの配慮を財閥に求めたとみられる。これは前代未聞のスキャンダルだ。

昨年12月、賛成多数で弾劾訴追案が可決されパク大統領は職務停止に追い込まれている。これは、韓国が政治、経済、そして軍事の意思決定者不在という異常な状態に直面していることに他ならない。

その中、大統領選挙に向けて複数の候補者が給付の拡大、反日姿勢を示し、支持を獲得しようとしている。世界の金融市場が落ち着いている中、韓国ウォン、韓国株式市場も安定しているが、油断はできない。

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