ロボット
人間の雇用を守るためには、人工知能に給料を払いなさい
ビル・ゲイツより一歩先をゆく発想

90%の仕事が奪われる世界で

これから10年後から15年後にかけて人工知能やロボットの進化による大規模な失業が発生すると言われています。

人間よりも優れた人工知能が出現し、それが人型ロボットに搭載され、つぎつぎとロボットがロボットを生産する世の中が来れば、人類の仕事はすべてロボットにとって代わられます。プロスポーツぐらいは残るかもしれませんが、とにかく99%の仕事はロボットがやったほうが効率的になります。

その日に向けた変化は突然訪れるのではなく、段階的に訪れます。2025年頃には、セルフドライビングカー(自動操縦車)が出現し、長距離トラックやタクシーのドライバーの仕事を奪い始めたら、もうその仕事は人類には戻ってこないでしょう。失業した大量のドライバーたちは、これまでも失業者たちがそうしていたように、警備員や倉庫の運搬人など新しい仕事を見つけようとするでしょう。

しかしその数年後、今度は警備員や倉庫の運搬の仕事も、ロボットや人工知能がやったほうがずっと生産性がよいという時代がやってきます。失業した大量の警備員たち、その多くは元ドライバーかもしれませんが、彼らはまた別の仕事を見つけようとするのですが、やがてその仕事もロボットや人工知能にとって代わられます。

世の中からほとんどの仕事がなくなってしまったとき、人間はどうやって生活を成り立たせていけばいいのでしょう?

ベーシックインカムの限界

世の中で提唱されている対策がふたつあります。ひとつはワークシェア、そしてもうひとつがベーシックインカムです。

仮に、2030年頃になって人類の30%が失業の危機に陥ったときに有効な政策がワークシェアです。たとえば法律で年間の労働時間の上限を1500時間と決めてしまう。一週間に30時間以上働くのは違法とするのです。そうすれば正社員もせいぜい週3日しか勤務することができません。

当然、勤務時間が短く、こなす仕事の量は少ないので、これまで年収500万円だった正社員も年収300万円ぐらいに減るかもしれませんが、企業が雇える人の頭数は倍に増えるわけです。

ただ、それによって30%の失業率が回避されるわけですが、同時に60%の人は年収が大幅に減ってしまうことになります。

 

そこで、それを補うのがベーシックインカムです。生活保護ではなく国民全員に頭割りで必要なお金を国が支給しようという政策で、実際、AIへの対応としてこの方法を提唱する方も少なくないようです。

一見、つじつまが合うように見えるこれらの政策ですが、計算してみるとすぐ財源が足りなくなることがわかります。マクロで見て雇用の量が3割減れば、それだけ税収も減ることを見逃してはなりません。国債を発行してベーシックインカムをばらまいても、消費者がモノやコトを消費するためのお金は、みんなが働いていた頃よりも確実に減ります。

そうなると経済が縮小しますから企業も儲からなくなります。ベーシックインカムの財源として「生産性が上がった企業からの法人税」があてにされているのですが、計算してみるとそれに必要な財源は莫大です。

たとえば国民全員に毎月5万円を支給するために必要な財源をもつには、今よりも7倍の法人税収が得られるぐらい会社が儲からなければならなくなります。これは達成不可能です。

つまりロボットと人工知能が発達して、人間の仕事をつぎつぎと奪うようになったら、マクロ経済は衰退してしまうのです。

このパラドックスを回避するためにはどうすればいいのでしょうか。