②働くスキルのメンテナンス:働きながら学べ

書籍『LIFE SHIFT』では、著者たちが研究者・教師であるからか、働く年代に入ってからも、ある程度まとまった時間を自己教育に投資することの必要性が説かれている。

ただ、20代で就職を遅らせて放浪して視野を広げるような自己投資は、それ自体が魅力的な時間ではあるが、職業スキルの吸収力が大きく、また、企業にとって使いでもある若い時期を実際の「職」から離れて過ごすことは、機会費用が大きすぎるように思う。

また、壮年期、中年期に、お金を貯めておいて大学院に通って新たな知識やスキルを獲得する時期を作るようなやり方も、現在の日本では、再就職しようとした時のリスクが大きすぎるのではないかと思われる。

働く期間が長くなると、学校時代に学んだ知識が古くなったり、若い頃に身につけたスキルが陳腐化したりするケースは相当に増えて来るだろう。方法は考えなければならないとしても、「継続的な自己教育」は確かに必要だ。

現在の日本のサラリーマンの状況に鑑みると、「働きながら、自習する」ことが最善の策であるように思われる。

端的に言って、週休2日のうち1日を主として自分のスキル・知識への時間の投資に充てるというくらいの自己メンテナンスが必要だろう。

将来の仕事に役立つ本や論文を読む人もいるだろう。週に1日程度の時間を継続的に仕事のために投資して積み重ねるなら、日本にあっては、他人に対してそれなりの差を付けられるくらいの成果が得られるのではないか。

あるいは、技術者などの場合、将来海外で職を得て働くために、外国語を習得したり、土地に慣れるために現地を何度か訪れたりといった準備が有効なケースもあるだろう。

もちろん、大学や専門学校、あるいは社会人大学院を使うと有効な場合もあるだろうが、日本の場合は、職場を完全に離れる形で自己教育の投資を行うのは、復職が大変だし、仕事のキャリアに穴があくので人材価値を維持する観点から、お勧めしにくい。

まずは、働きながら、しっかり時間を取って、継続的に自習するのが基本だろう。

③健康を確保する:やっぱり身体が資本

働く場があって、スキルを磨いていても、健康状態が悪いと働けない。全体の傾向としては、長寿化と並行して、高齢者は年齢の割に元気になっているが、健康には個人差がある。

筆者は、健康問題の専門家ではないので、述べるに足る健康法のうんちくを持っていないが、健康のために、時間・努力・お金などを使うことは、特に長寿化時代の職業戦略として有効な「投資」であることを強調しておく。

長生きするとしても「身体が資本」という状況は変わらない――。