現役時代の必要貯蓄率はいくら?

最近、方々で「長寿化」に個人と社会がどう対応すべきかが話題になる。

リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著『LIFE SHIFT』(池村千秋訳、東洋経済新報社)という書籍が大いに売れていることの影響もあるだろうが、日本は世界にあって長寿化のトップランナーなので、「老後」に対する関心は、もともと高い。

日本人の長寿化・高齢化に関しては、制度や企業などにいくつか注文はあるが、本稿では、「現状及びその延長として予想される状況」を前提として、個人の側で何をしたらいいのかに問題を絞って考えてみたい。制度を良くすることは大事だが、今まさに生きている個人の側では、できることを着々とやっていくしかない。

さて、個人が、長寿化の自分に取っての影響を考えるには、お金の計算が手っ取り早い。

たとえば、大学を卒業するの22歳で就職して65歳まで働き、老後には現役時代の平均的な生活費(物価調整済み)の0.7倍で生活したいとした場合、90歳まで生きるのであれば、現役時代に手取り所得の約16.8%貯蓄できれば辻褄が合うが、100歳まで生きるとして老後期間を10年延ばした場合、約21.1%の貯蓄が必要な計算になる(注:サラリーマンであるとして厚生年金を現役時代の可処分所得の30%貰えると仮定した。また、インフレと運用利回りは同じとする実質利回りゼロの世界での計算だ)。

手取り所得の21%強を貯蓄することは不可能ではないが、経験的に言って、手取り所得の2割を貯めるのは、かなり大変だ(想像してみて欲しい…)。

実は、この問題の解決方法はシンプルだ。

昔よりも長寿で、しかも元気なのだから、より長く働けばいいのだ。書籍『LIFE SHIFT』も大筋ではそう言っているように読める。

先の計算で、75歳まで52年働いて、100歳まで25年の老後期間を現役時代の0.7倍で賄うとすると、現役時代の必要貯蓄率はいくらか。14.4%が答えである。それでも、この程度の貯蓄が必要であることには注意して欲しいが、これなら達成はそう難しくないのではないか。