週刊現代

このままではアマゾンとセブンイレブンとヤマトが全滅する!

商品はあっても 「運ぶ人」がいない…
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並木氏が続ける。

「コンビニ各社はビジネスモデルを、お客さまを店舗で待つスタイルだけでなく、お客さまの玄関まで御用聞きに伺うという『攻め』の形に変えようとしています。

しかし、これは配送や人件費などのコストに見合う利益が確保できなくなる危険があり、実現は難しいでしょう。移動販売など、地域の特性に合わせた営業形態と組み合わせて取り組んでいくようになるはずです」

労働者の高齢化も、ますます物流業界を苦しめる。すでに、トラック運転手の約4割は50代以上が占め、若い世代の参入は年々減少している。

東名高速海老名サービスエリアにいた運転手に話を聞いた。

「俺はもうすぐ年金をもらうからマシなほうだけど、それでも12時間労働なんて当たり前だよ。若いやつは18時間ぶっとおしとかもあるし。労働基準法? そんなの守っていたら、指定された配送時間に間に合わないよ。結局、仕事を断ってクビになった若い同僚もいる」(60代男性)

「若い世代が入ってこない理由? 俺は免許制が悪いと思うよ。中型免許なんていう無意味なもの作りやがってよ。これまでは普通免許でもトラックが運転できたのに、今では20歳にならないと取れない中型免許がないとトラックが運転できないから、高卒が入ってこなくなった」(40代男性)

 

「配送料はタダ」と思う日本人

もちろん、労働力不足は多くの産業に共通する課題である。国は移民を受け入れることで問題を解決しようと目論むが、運送業の人手不足の解決にはなりそうもない。

「日本の流通はサービスの質の良さが最大の特徴ですから、宅配などで外国人を安易に使うことは難しいでしょう」(前出・並木氏)

外国人はビザの関係で運転免許が取れないことも、移民が解決策にならないことの一因だ。

ドライバー派遣や物流業務を請け負うウィンコーポレーションの中村真一郎氏が言う。

「最近は高齢者がネット通販のユーザーとなって配送量が増えていますが、一方でドライバーは高齢化が進んで辞めていく人が増えているのが深刻です。大手のヤマト運輸も佐川急便も日本通運も慢性的に足りていない。

ヤマト運輸は物流という社会的なインフラを守る意味合いからアマゾンの仕事を受けた側面もあると思いますが、一説にはアマゾンの仕事をやらないと地方で配達の仕事が極端に少なくなり、地方で採算が取れなくなると聞いています」

このままでは物流が止まり、アマゾンもセブンイレブンもヤマト運輸もなくなってしまいかねない危機的な状況――順天堂大学特任教授の川喜多喬氏は、現状をこう分析する。

「多くの消費者は、物流に対してコストを支払おうという意識が低すぎます。物流は『社会の命綱』とたとえられますが、まさにその通りです。労働力不足で機能しなくなれば、アマゾンやセブンイレブンなども壊滅的な状況に陥ります。

情報は一瞬で届く時代になりましたが、現実の物は誰かが人力で動かさないと経済は回らないのです」

送料無料、翌日配送。365日24時間営業。これらは「運ぶ人」がいないと成り立たない。日本人が当たり前のように享受する「便利さ」が崩壊の危機に直面している。

「週刊現代」2017年3月4日号より